続・続「ダム等再検証」結果 - (3)中止ダム 中止スキーム- |
承前
対象83事業のうち、中止(補助ダムは「補助金交付を中止」)の「対応方針」が出されたのは、19事業。
● 直轄&水機構ダム30事業中 4事業
七滝ダム(九州地整)、吾妻川上流総合開発(関東地整)、荒川上流ダム(関東地整)、戸草ダム(中部地整)
● 補助ダム 53事業中 15事業
大和沢ダム(青森県)、奧戸生活貯水池(青森県)、常浪川ダム(新潟県)、晒川生活貯水池(新潟県)、大多喜ダム(千葉県)、黒沢生活貯水池(長野県)、駒沢生活貯水池(長野県)、
布沢川生活貯水池(静岡県)、北川ダム(滋賀県)、武庫川ダム(兵庫県)、大谷川生活貯水池(岡山県)、五木ダム(熊本県)、柴川生活貯水池(徳島県)、有田川総合開発事業(佐賀県) タイ原ダム(沖縄県)
このうち、例の「要領細目」での普通の、つまり「検討の場」等を設置しないやり方で「中止」となったのが11ある。
デキが悪い癖にやたらに威力を発揮して「検証」を縛っている(まともな検証を阻害することいにしかならない)「要領細目」。 「中止」の場合はスルーして良いの?-中止になること自体に異議はないけど。
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国交省本省に訊いた。「要領細目」に仕込んであったのだ。
★ 国交省HP
ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目
http://www.mlit.go.jp/common/000125234.pdf
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p33 第5 その他
2 社会情勢の変化等により、検証主体自らが検証対象ダムを中止する方向性で考えている場合には、検証に要する時間、費用等を軽減する観点から、利水者等の関係者との合意形成状況に応じて、中止の方向性及びそのような考えに至った理由を明らかにした上で、必ずしも本細目で示す詳細な検討によらずとも、従来からの手法等によって検討を行うことができる。
その場合、従前と同様に、河川整備計画の作成状況に応じて、次のようなことについて明らかにすることが求められることを考慮することが望ましい。
(1) 河川整備計画が作成されている場合には、基本的に、当該河川整備計画において想定している目標と同程度の目標の達成が当該事業によらずとも可能であること
(2) 河川整備計画が未作成である場合又は河川整備計画が作成されているが今後変更する予定がある場合には、基本的に、検証に係る検討に当たって設定する目標と同程度の目標が妥当であること及び目標の達成が当該事業によらずとも可能であること
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上記の中止となった事業を ① 「要領細目/第5 その他 2」適用で(「再検証」以前の従来スキームで止)中止となったもの ② 「再検証」要領細目」の一般的な方法を用いたもの
に分けてみると:
☆は補助ダム ★は国直轄(検討主体は地整)
①「第5 その他 2」を適用 11事業
☆ 大和沢ダム 青森県 (平成23年度から補助金交付を中止)
☆ 大多喜ダム 千葉県 ( 〃 )
☆ 武庫川ダム 兵庫県 ( 〃 )
★ 七滝ダム 九州地整 (平成23年度をもって)
★ 吾妻川上流総合開発 関東地整 ( 〃 )
☆ 黒沢生活貯水池 長野県 (平成24年度から補助金交付を中止)
☆ 駒沢生活貯水池 長野県 ( 〃 )
☆ 五木ダム 熊本県 ( 〃 )
★ 戸草ダム 中部地整 (平成24年度から中止)
★ 荒川上流ダム 関東地整 ( 〃 )
☆ 有田川総合開発事業 佐賀県 (平成24年度をもって補助金交付を中止?)
② 「再検証」の一般的な方法を用いた 8事業
☆ 奧戸生活貯水池 青森県 (平成23年度をもって補助金交付を中止)
☆ 大谷川生活貯水池 岡山県 (平成23年度をもって補助金交付を中止)
☆ タイ原ダム 沖縄県 (平成24年度から補助金交付を中止)
☆ 常浪川ダム 新潟県 (平成24年度から補助金交付を中止)
☆ 晒川生活貯水池 新潟県 (平成24年度から補助金交付を中止)
☆ 北川ダム(滋賀県) (平成24年度から補助金交付を中止)
☆ 柴川生活貯水池(徳島県) (平成24年度から補助金交付を中止)
☆ 布沢川生活貯水池(静岡県) (平成24年度から補助金交付を中止)
こうしてみると、国直轄ダムで中止となったのは、すべて「従来スキーム」で中止となったことがわかる。
意地悪く言えば、中止にすると腹が決まっているダムも「検証対象事業」に加えることで「この再検証でで中止となったダム」の数を増やして、この(かなりオバカな)「再検証」をとても有り難いものに仕立てる、ということのようでさる。
(それでも何でも良いからダメダムは早く正式中止にしてくれ、と思う)
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国直轄ダムで昨年ようやく中止となった戸草ダム。2008年6月には「中止」新聞報道が出ている。
● 中日新聞 2008.6.18

● 中日新聞 2008.7.2

ほとんど同時期に」同時期に中部地整の「中止」意向が表明された上矢作ダムは、2001年8月までに中止が決まっている。
この違いは何だ?
このときに戸草ダムが中止にならなかったいきさつについて、HPに残った天竜川河川整備計画策定課程を追ってみた。
これについては次の稿で。
続く
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