2013年 08月 24日
岐阜県も踏み出せるか?-「洪水をある程度許容する」治水- |
岐阜県も踏み出せるか?-「洪水をある程度許容する」治水-
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「(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案」に関する意見
http://tokuyamad.exblog.jp/20240141/
をアップしたら、関市のSさんが、岐阜県が「伝統的防災施設マップ」というものを作ったこと、7月12日に関市で関市の霞堤などについて小学生ともに学ぶ「総合学習」が開催されたことを教えて下さった(8月21日。冊子も下さった)。冊子は今年3月にできたらしい。

岐阜県庁トップ > 県土づくり > 道路・河川・砂防 > 河川 >
水防・防災 > 「伝統的防災施設マップ」を活用した地域防災力の向上
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/suibo/dentouteki-bousai-sisetsu-tiikibosai-koujyou.html
ここに5カ所分の「伝統的防災施設マップ」がリンクされている。
子ども向け冊子だが、大人が読んでも読みごたえのある内容だ(細かくいえば地理学的に必ずしも精確でないところとかもあるらしいけど)。
それぞれの冊子を複数部入手したくて、早速翌22日に県庁に行った。
5つの冊子はそれぞれ単独で使うことが前提なので、半分以上重複している。「総合版とかも作られたほうが良いのでは」と言ったら、「もう作ってます」とのことで「県内全域版」というのも貰った。(「県内全域版」はHPに載っていない。どういうふうに活用するかにもよりかりだろうけど、私は大人用には「県内全域版」をたくさん印刷して、防災講座的なもののみならず「生涯学習/郷土史」のような場面でもどんどん使って貰うようにするべきだと思う)
◇ ◇
「(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案」に関する意見
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikiiken.pdf
では、2010年、2011年の内ヶ谷ダムに関するパブコメに応じたものを別添資料とした。
【別添資料①】内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見 (近藤作成)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikibetten1.pdf【別添資料②】「内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見」(第2回) (近藤作成)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikibetten2.pdf
ここでは、岐阜県の河川行政に対して厳しく批判している。
それから2年以上経って岐阜県も良い方向に変化してきた、とまずは評価しておこう。
たまたま7月半ばから岐阜県河川課のHPをウォッチしていなくて、「伝統的防災施設マップ」を知らなかった。知っていたら、上記「『(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案』に関する意見」に「岐阜県の河川行政の変化の兆し」とかの項目入れて褒めておいたのに・・・残念。
ついでに(?)、内ヶ谷ダム「再検証」パブコメに応募した市民側の意見などを以下に。
内ヶ谷ダムに係るパブコメ提出 -岐阜県の意見募集に応じて-[2010-12-25 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15218853/
内ヶ谷ダムの2回目意見募集に応じて[2011-05-05 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15921964/
続・内ヶ谷ダムの2回目意見募集に応じて[2011-05-09 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15945636/
◇ ◇
2004年の長良川出水に関係する-そして内ヶ谷ダム建設の理由にもなっている-関市、美濃市、岐阜市上流側の「伝統的防災施設 中濃地区版」のURLは以下。
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/suibo/dentouteki-bousai-sisetsu-tiikibosai-koujyou.data/02-tyuunou-dentou-bousai.pdf
みたときに、内ヶ谷ダムとの関係で2つのことを感じた。
① 内ヶ谷ダムにGOサインが出た(何よりも国からの補助金交付継続が決まった)から、「安心」して、霞堤や輪中堤に言及するようになった。
② 内ヶ谷ダムの「効用」を河川管理者自体があまり信じていない。「効果発現」までまだ時間がかかる、ということもあるが、ダムが完成してもその「効果」は限定的(効果が小さくかつ偶然的)であることをよく知っている。
(①、②は、特殊に私だけの感想というのでもない。たまたま22日に長年ダム・河川問題を取材してきた記者の方に会ったが、同じような感想をもっておられた)
「伝統的防災施設 中濃地区版」のp11-12から。

霞堤や尻無堤の存在を認識している者は、2004年の出水でその箇所が浸水することはわかっていた(ただ、増水の速さは予想外であったそうだ)。
2010年12月の私たちの<長良川「治水」調査行>でも、こうした場所を見てきた。
弊ブログ
2010年12月7-8日 長良川「治水」調査行-4 [2010-12-18 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15183264/
長良川市民学習会の武藤さんが、関市で主に見た部分を図面にして下さった(PDFファイル)。
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota4/20101207seki.pdf
関市でNPO法人を作って活動しているSさんは、内ヶ谷ダム建設のような「治水」は、結局は流域住民のためにならないことを、よく知っておられる。遊水機能をもつ農地が、後継者不足のために売られ、工場や倉庫がどんどん建てられてしまう現状を嘆いておられた。防災と都市計画や産業の保護育成を総合的に考える町づくりを提唱してこられた。また、岐阜市中心部を守っているのは、関市や美濃市にたくさんある霞堤による遊水機能であることを、県はしっかり認識すべきだ、ということも一生懸命訴えられていた。
内ヶ谷ダムの「再検証」のときにも、県に対してそのことを熱心に訴えたが、まともな反応はなかった。
だから、Sさんは幾分か興奮気味に、「伝統的防災施設マップ」のことを伝えて下さったのだ。
「伝統的防災施設マップ」p6下側

「伝統的防災施設 中濃地区版」 p10

★ 「洪水をある程度許容することが大事」
★ 霞堤の遊水区域に家や工場などを建てることはとても危険です
★ 霞堤の考え方を知って、遊水区域の利用を控えましょう
当たり前のことを述べているだけだが、岐阜県発行のパンフに載っていると一種感動的というか、来し方を振り返ってしまう。
この当たり前のことを全否定して、岐阜県は超高くついている「治水専用」徳山ダム建設を強行に推進したのだった。
◇ ◇
22日、河川課で担当の方から冊子を受け取る際、(冊子の中味を褒めた上で)
「でも半分しか褒めきれない気分でもあるんですよんぇ。昨年6月に、内ヶ谷ダムの再検証結果への対応方針=補助金交付継続が決まり、昨年度内に大幅な予算増額をして工事を前倒しした。だから『安心』してこういう冊子を作って、市民に広報し始めたんだぁ・・・と感じてしまうから」と言ったら、斜め横の課長席からI課長(県土整備部次長でもある)から「近藤さん、それは違います!」との声が飛んできた。 「一昨年から聴き取りとかを始めています。何なら証明してみせます」
いやぁ。準備は2000年の河川審中間答申が出たときから始めていて当たり前。冊子を印刷して公表するようにしたのは、昨年6月以降でしょうが。
近藤=「とても残念ですけど、こうしたことにはアンテナを張っていたつもりの私ですが、昨日、関市のSさんにえて頂くまで知りませんでした。情報発信の仕方にも問題があるのではありませんか?」
I課長=「各町内会に回覧して貰うようにしました。」
近藤=「回覧板は隣に回す前に目を通しますけどこれは見てないです。見たら、きょうみたいに頂きに来てますよ。」
I課長=「回覧したかどうかまでは確認していませんが(少しトーンダウン)、全町内会に配布する部数は渡しました。」
ま、岐阜県河川課が、町内会(と行政の人間が言ってほしくない、自治会と言って欲しい)が回覧したのかどうかを監督する立場に立ったりしたら、それはそれでトンデモナイ。
「じゃ、大垣市ではどうなっているんだ?」と調べたくなってしまって、翌23日に大垣市役所へ。
(続く)
◇ ◇

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「(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案」に関する意見
http://tokuyamad.exblog.jp/20240141/
をアップしたら、関市のSさんが、岐阜県が「伝統的防災施設マップ」というものを作ったこと、7月12日に関市で関市の霞堤などについて小学生ともに学ぶ「総合学習」が開催されたことを教えて下さった(8月21日。冊子も下さった)。冊子は今年3月にできたらしい。

岐阜県庁トップ > 県土づくり > 道路・河川・砂防 > 河川 >
水防・防災 > 「伝統的防災施設マップ」を活用した地域防災力の向上
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/suibo/dentouteki-bousai-sisetsu-tiikibosai-koujyou.html
ここに5カ所分の「伝統的防災施設マップ」がリンクされている。
子ども向け冊子だが、大人が読んでも読みごたえのある内容だ(細かくいえば地理学的に必ずしも精確でないところとかもあるらしいけど)。
それぞれの冊子を複数部入手したくて、早速翌22日に県庁に行った。
5つの冊子はそれぞれ単独で使うことが前提なので、半分以上重複している。「総合版とかも作られたほうが良いのでは」と言ったら、「もう作ってます」とのことで「県内全域版」というのも貰った。(「県内全域版」はHPに載っていない。どういうふうに活用するかにもよりかりだろうけど、私は大人用には「県内全域版」をたくさん印刷して、防災講座的なもののみならず「生涯学習/郷土史」のような場面でもどんどん使って貰うようにするべきだと思う)
◇ ◇
「(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案」に関する意見
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikiiken.pdf
では、2010年、2011年の内ヶ谷ダムに関するパブコメに応じたものを別添資料とした。
【別添資料①】内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見 (近藤作成)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikibetten1.pdf【別添資料②】「内ヶ谷ダム建設事業の検証に係る意見」(第2回) (近藤作成)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikibetten2.pdf
ここでは、岐阜県の河川行政に対して厳しく批判している。
それから2年以上経って岐阜県も良い方向に変化してきた、とまずは評価しておこう。
たまたま7月半ばから岐阜県河川課のHPをウォッチしていなくて、「伝統的防災施設マップ」を知らなかった。知っていたら、上記「『(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案』に関する意見」に「岐阜県の河川行政の変化の兆し」とかの項目入れて褒めておいたのに・・・残念。
ついでに(?)、内ヶ谷ダム「再検証」パブコメに応募した市民側の意見などを以下に。
内ヶ谷ダムに係るパブコメ提出 -岐阜県の意見募集に応じて-[2010-12-25 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15218853/
内ヶ谷ダムの2回目意見募集に応じて[2011-05-05 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15921964/
続・内ヶ谷ダムの2回目意見募集に応じて[2011-05-09 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15945636/
◇ ◇
2004年の長良川出水に関係する-そして内ヶ谷ダム建設の理由にもなっている-関市、美濃市、岐阜市上流側の「伝統的防災施設 中濃地区版」のURLは以下。
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/michi-kawa-sabo/kasen/suibo/dentouteki-bousai-sisetsu-tiikibosai-koujyou.data/02-tyuunou-dentou-bousai.pdf
みたときに、内ヶ谷ダムとの関係で2つのことを感じた。
① 内ヶ谷ダムにGOサインが出た(何よりも国からの補助金交付継続が決まった)から、「安心」して、霞堤や輪中堤に言及するようになった。
② 内ヶ谷ダムの「効用」を河川管理者自体があまり信じていない。「効果発現」までまだ時間がかかる、ということもあるが、ダムが完成してもその「効果」は限定的(効果が小さくかつ偶然的)であることをよく知っている。
(①、②は、特殊に私だけの感想というのでもない。たまたま22日に長年ダム・河川問題を取材してきた記者の方に会ったが、同じような感想をもっておられた)
「伝統的防災施設 中濃地区版」のp11-12から。

霞堤や尻無堤の存在を認識している者は、2004年の出水でその箇所が浸水することはわかっていた(ただ、増水の速さは予想外であったそうだ)。
2010年12月の私たちの<長良川「治水」調査行>でも、こうした場所を見てきた。
弊ブログ
2010年12月7-8日 長良川「治水」調査行-4 [2010-12-18 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15183264/
長良川市民学習会の武藤さんが、関市で主に見た部分を図面にして下さった(PDFファイル)。
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota4/20101207seki.pdf
関市でNPO法人を作って活動しているSさんは、内ヶ谷ダム建設のような「治水」は、結局は流域住民のためにならないことを、よく知っておられる。遊水機能をもつ農地が、後継者不足のために売られ、工場や倉庫がどんどん建てられてしまう現状を嘆いておられた。防災と都市計画や産業の保護育成を総合的に考える町づくりを提唱してこられた。また、岐阜市中心部を守っているのは、関市や美濃市にたくさんある霞堤による遊水機能であることを、県はしっかり認識すべきだ、ということも一生懸命訴えられていた。
内ヶ谷ダムの「再検証」のときにも、県に対してそのことを熱心に訴えたが、まともな反応はなかった。
だから、Sさんは幾分か興奮気味に、「伝統的防災施設マップ」のことを伝えて下さったのだ。
「伝統的防災施設マップ」p6下側

「伝統的防災施設 中濃地区版」 p10

★ 「洪水をある程度許容することが大事」
★ 霞堤の遊水区域に家や工場などを建てることはとても危険です
★ 霞堤の考え方を知って、遊水区域の利用を控えましょう
当たり前のことを述べているだけだが、岐阜県発行のパンフに載っていると一種感動的というか、来し方を振り返ってしまう。
この当たり前のことを全否定して、岐阜県は超高くついている「治水専用」徳山ダム建設を強行に推進したのだった。
◇ ◇
22日、河川課で担当の方から冊子を受け取る際、(冊子の中味を褒めた上で)
「でも半分しか褒めきれない気分でもあるんですよんぇ。昨年6月に、内ヶ谷ダムの再検証結果への対応方針=補助金交付継続が決まり、昨年度内に大幅な予算増額をして工事を前倒しした。だから『安心』してこういう冊子を作って、市民に広報し始めたんだぁ・・・と感じてしまうから」と言ったら、斜め横の課長席からI課長(県土整備部次長でもある)から「近藤さん、それは違います!」との声が飛んできた。 「一昨年から聴き取りとかを始めています。何なら証明してみせます」
いやぁ。準備は2000年の河川審中間答申が出たときから始めていて当たり前。冊子を印刷して公表するようにしたのは、昨年6月以降でしょうが。
近藤=「とても残念ですけど、こうしたことにはアンテナを張っていたつもりの私ですが、昨日、関市のSさんにえて頂くまで知りませんでした。情報発信の仕方にも問題があるのではありませんか?」
I課長=「各町内会に回覧して貰うようにしました。」
近藤=「回覧板は隣に回す前に目を通しますけどこれは見てないです。見たら、きょうみたいに頂きに来てますよ。」
I課長=「回覧したかどうかまでは確認していませんが(少しトーンダウン)、全町内会に配布する部数は渡しました。」
ま、岐阜県河川課が、町内会(と行政の人間が言ってほしくない、自治会と言って欲しい)が回覧したのかどうかを監督する立場に立ったりしたら、それはそれでトンデモナイ。
「じゃ、大垣市ではどうなっているんだ?」と調べたくなってしまって、翌23日に大垣市役所へ。
(続く)
◇ ◇

by tokuyamadam
| 2013-08-24 23:38
| 荒崎水害と流域治水
|
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