新聞記事あれこれ(1) |
ブログを更新できずに、随分と皆さまに紹介したい新聞記事を溜め込んでしまいました。
2月-3月の三題をピックアップします。
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まず2月17日 岐阜新聞の1面をまるまる使った記事。
PDFファイルにしました。読めるでしょうか(2ページにわたっています)。
2014年2月17日岐阜新聞 大牧冨士夫さん記事
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota8/20140217oomaki.pdf
記事の下のほうに聞き手の感想があります。
<お会いして>
「徳山から逃げ出した旧村民の一人として…」「福島の原発事故について発言しなければと思うが、じゃあおまえはどうだったんだ、と自分に返ってきてしまう」。大牧さんの口からは、過去の自分を責めるような言葉が何度も出た。
大牧さんでなければ書き残せなかったことが、徳山村史や何冊もの著書となって結実した。かつてあった徳山村での人々の営みが、そこには息づいている。そのことの感謝したい。
◇ ◇
私は、というか、徳山ダム中止を求める運動は、大牧冨士夫さんには、随分お世話になっています。
何と言っても、1996年6月の徳山ダム審の公聴会で、私が「洪水調節」について公述することになったとき、大牧さんが1980年代に「技術と人間」に書かれた論文を参考にさせて頂いたことです。まだ、ほとんど資料が入手できていませんでした(※)。大牧さんの論文がなかったら、私は公述できなかったことでしょう。
※ 情報公開法もなく、役所に内部資料には、ことごとくマル秘のハンコが押されていた時代。河川管理者の資料は、国会議員か、行政に委嘱されて「ナントカ委員会の委員」になっている学者かにコネをつけてコピーを貰ってくるしかなかった。徳山ダム審が設置され、傍聴者にも資料が配付されるようになって、ようやく少しずつ、情報がオープンになってきはじめた段階。
弊ブログ
<徳山ダム建設事業審議委員会>
• 河川法改正と淀川水系流域委員会-木曽川水系流域住民としての雑感-③
~ダム審とは何だったのか?~[2009-04-17 00:46 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/10817167/
<1996年6月22日公聴会での発言>
•河川法改正と淀川水系流域委員会-木曽川水系流域住民としての雑感-①
~1995年の「ダム等事業審議委員会」のデジャヴ~ [ 2009-04-11 01:50 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/10769006/
1996年6月22日公聴会での近藤の公述
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota/1996koutyoukai.pdf
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この新聞記事をみて、私は大牧さんに手紙を書きました。以下はその一部です。
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大牧冨士夫さま
昨日(17日)付け岐阜新聞に1面大きく、大牧さんのインタビュー記事が載っていましたね。
まず、お写真、お元気そうで嬉しかったです。
(中略)
以下、大牧さんの書かれたものをちゃんと読めていない(「時間がない」こともありますが、それ以上に「基礎知識が足りない」です。私は全くの文学オンチです)ので的外れになるかもしれませんが。
「遊民」で「詩人 金龍済を読む」を書いておられました。
以前に頂いたご著書「中野鈴子」で金龍済に触れられた筆致とは随分違う、赦しというか寛容というか(どちらの言葉も当てはまらないとは思いますが)暖かみを感じました。
今回の新聞記事にある<心の「ひるみ」を書きたい>ということと、重なって感じました。
2003年、大牧さんは「 ぼくは、井伏鱒二の『朽助』はなれませんでした。」とおっしゃいました。
弊ブログ
•徳山ダム堤体盛り立てゼロメートル(0m)の小石~2003.6.7~[2008-12-03 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/9814211/
井伏鱒二は、当時の(今も、かもしれません)「都会の知識人」達は、『朽助』をどうみていたのでしょうか?
正直、1980年代までの私は、「故郷、捨て難し」という感覚は理解できませんでした。
「要らないダムへの批判」はあっても、「先祖伝来の土地は渡せない」とか「故郷を離れられない」とかいうのは「後ろ向き」な話だと思っていました。
「学歴」はキライでも、青年が都会に出て高等教育を受けることは、その青年にとって未来の選択肢を広げることだから「良いことだ」と単純に考えていました(だから学習塾をやっていられたのです)。
その「普通の感覚」が、これだけ多くのものを破壊してきてしまった、さらに原発なんてトンデモナイものを生み出すことを許してしまった、今はそう思っています。
弊ブログ
•「ダムは正義」だった時代はまだ終わっていない[ 2013-06-08 23:39 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/19775412/
•映画「福島 六ヶ所 未来への伝言」 と徳山ダム [ 2013-06-14 15:46 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/19820169/
でも「だったらどうすれば良かったのか?」への回答は出ていません…予感としては「回答は出せないだろう」.
だけど、考えてみたいと思います。
そのためには、大牧さんの書かれる徳山村のことをもっと読んでみたい、大牧さんの「ひるみ」が何だったかを知りたい。
今は「戦後最大の激動のとき」と感じています。
私はその激動の渦の中にいたいです。
しかしそうはいってもロートル、「去りゆくのみ」の一歩手前です。
そういう立ち位置だから見えるものをきちんと伝えることが使命なのかも、と思っています。
だから大牧さんの筆に期待しています。
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