徳山ダム山林公有地化問題は終わっていない |
2014年1月25日の1面トップ記事
岐阜新聞 2014年01月25日09:24
徳山ダム、25%の未買収用地 県と地権者、共有
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20140125/201401250924_21835.shtml

◆水資源機構含め協議
揖斐郡揖斐川町の徳山ダムで、ダム湖の上で計画する「樹林帯」(グリーンベルト)用地のうち25%を水資源機構が取得できない状態が5年間続いている。主に、樹林帯と県の公有地化用地にまたがり、地権者が多数の共有地で、地権者全員の同意を得られていないため。事態を打開するため、県と水機構は共有地のまま持ち分を取得していく新たな方法を検討、協議は大詰めの段階に入ったもようだ。
樹林帯は、山の土砂がダム湖に流出することや水質汚濁を防ぐための用地。標高403メートルの最高水位面から423メートルまでの標高差20メートルの区間で、貯水池の上を帯状に整備する。対象264ヘクタールのうち67ヘクタールが取得できないまま残っている。
未取得の土地は、まずダム建設の事業主体である水機構の責任で、樹林帯用地を県の公有地化用地と分筆。その後、県は公有地化用地を取得することなっている。
ところが分筆には、共有者全員の同意を取り付ける必要があり、1人でも反対すればできない。未取得地には一筆を100人を超す人が共有する土地が点在、中に反対者がいると分筆のめどが立たない。水機構は2008年のダム完成までに樹林帯の取得も終える予定だったが、09年度以降は事態が一歩も進展せず「デッドロック状態」(水機構)に陥っている。
分筆できなければ、県も公有地化事業が進まない。行き詰まった状態を打開するため、県と水機構は協議。分筆をしていない土地であっても、売却に同意する人の持ち分を取得していくことに方針を転換した。
新たな方法により、水機構、県とも取得割合を上げられるメリットがある一方、ダム事業用地でありながら県が共有することになる。また、水機構、県、反対者が共有する状態で残れば、木を伐採処分しようとしても容易にできないことがあるなど、山を管理していく上で課題もある。
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27面にも記事が。

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あまりよく意味がわからない。
そもそもどういう経緯で徳山ダム残存山林の「公有地化事業」なるものが登場したのか、それを徳山村民がどう受け止めたのか、何故「デッドロック状態」になっているのか…
相続などで権利者が広がってしまって、事務的困難がある、という事情もあるにはある。しかし肝心なことは、買収を断固として拒否している地権者が存在する、その事情ではないか?
弊ブログ
•国(事業者)は約束を守らない[ 2012-07-14 16:31 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/17760316/
この問題は、東海テレビがドキュメンタリー「約束 日本一のダムが奪うもの」としてオンエアし、その後劇場公開もされている。
映画「約束 日本一のダムが奪うもの」
http://eiga.com/movie/77750/
http://movie.walkerplus.com/mv51998/

この写真は、門入の広瀬ゆきゑさん。何度か門入のお宅に伺った。
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表題から脱線。
2000年8月の「恒例:徳山村キャンプ」は門入で行った。門入にお住まいの広瀬司・ゆきゑさんご夫妻には何かとお世話になった。
このキャンプの朝、イヌワシの親子3羽(ペアと幼鳥)が悠然と大空を舞う様子を、しっかりと観察することができた。親子(ペアと幼鳥)3羽が同時に観察された例は少ないのではないだろうか。貴重な思い出である。
あのイヌワシ親子はどうしているだろう?ペアは繁殖を続けていられるだろうか?幼鳥は自らが自立できたであろうか、繁殖の相手を見つけて次世代を産みだしているだろうか??
弊ブログ
•幻のイヌワシは再び幻と消えるのか?[ 2008-12-29 00:26 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/10008498/
徳山ダム建設中止を求める会公式HP
http://tokuyamadam-chushi.net/
≫ やめよ!徳山ダム ニューズレター
http://tokuyamadam-chushi.net/archives/news.html
・やめよ!徳山ダム 34号(2000.8.28)
http://tokuyamadam-chushi.net/archives/news/0034.pdf
門入で偶然お見かけした大西暢夫さんにシャッターを押して頂いた写真を掲載
・やめよ!徳山ダム 35号 200.10.12
http://tokuyamadam-chushi.net/archives/news/0035.pdf
保護との関係で遠慮がちにイヌワシ親子のことを掲載
脱線ついで
広瀬さんご夫妻は、大西暢夫さんの本「水になった村」(映画も)にも登場する。
大垣での大西さんの写真展(=2006年9月1日(金)~ 3日(日)-大西暢夫写真展- 僕の村の宝物 ~ジジババ徳山村物語)の会場にも足を運んで頂き、大西さんとトークををして頂いた。
・ やめよ!徳山ダム 69号 2006.9.8
http://tokuyamadam-chushi.net/archives/news/0069.pdf
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-大西暢夫写真展- 僕の村の宝物 ~ジジババ徳山村物語
2006年9月1日(金)~ 3日(日) 大垣市スイトピアセンター・第4展示室
主催:大西暢夫さんの写真を見る会 大垣市田町1-20-1(近藤方)
大盛況でした。のべ来場者は少なくとも800人、1000人かもしれません。
各紙地方版には、写真入りで載り、TVでも報道されました。大西さんの写真に撮られた方、そのご家族の方が来場されて、徳山の話をたくさんしていかれました。
過去のTV特集のビデオを会場内に流しました。何らかの形で、この動画も集大成して行かれる意向のようです。
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2006年 大西暢夫さん写真展の記事まとめ
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota8/20060901-03photo.pdf
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本題に戻って:
新聞記事では、水機構が買収することになっている「樹林帯」と「公有地化」で件が買収する山林が、並列的に書かれているが、面積的にも、「問題」の大きさからしても、後者のほうの比重が高い。
平成12年度河川局関係予算概算要求概要 /ダム周辺の山林保全措置制度の創設
自然環境に配慮するとともに経済的なダム事業を推進する観点から、林道の付替に代え、地元自治体が林道の周辺山林を保全する施策(取得等)を講じる場合に、林道付替に要する費用の範囲内で事業者が負担できる制度を創設
徳山ダム周辺山林についての「公有地化事業」とは、上記の制度に基づいて、徳山ダム建設事業費のうち約250億円を切り出して、残存山林を「公有地化」するというものである。
徳山の山林の地権者には諮りもせず、意向も聴かず、事業費大幅増額問題(2003年秋~)のときに、いきなり「西谷道路は費用もお金もかかりすぎるから作らない。アクセスできなくなる残存山林は買い上げてやるから有り難く思え」と出てきたものである。
当然ながら揉めた。
徳山村を離れるときに、残存山林に見切りをつけた人もいる。世代も代わって、どの辺りの山林にどういう権利があるのか、知らない(関心もない)地権者もいる。そういう人にとっては、「件が」だが、西谷道路の建設を前提に、何十年先まで見据えて森林の手入れをしてきた人もまたいるのだ。地権者の同意をえることもなく、「西谷道路は作らない/残存山林公有地化」が決められ、2006年9月には、強い反対を押し切って試験湛水が開始した。
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記事をみて、 岐阜県と水資源機構に「どうなっているの?」取材をかけてみた。
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・20141.28 (一部2014.1.30) 水資源機構中部支社管財課 I氏
☆ 樹林帯は河川法上に位置づけられている。が、すでに管理事業となってしまっているので、土地収用法は使えない(事業認定申請はできない)
☆ 大規模共有地はなかなか取得できない。未買収25%
☆ 分筆せずに持分を取得し、持分割合で岐阜県と共有する。
☆ 民法上、持分の50%超で、「管理」できる。
☆ 平成20年度(2009年3月31日末まで)で樹林帯の75%を取得。ここで 止まっている。
・2014.1.30 岐阜県河川課 徳山ダム係 N氏
☆ 県の公有地か事業は、全筆で取得する、という方針でやってきた(1つの筆になっているものを買う)。
☆ 従来は、水資源機構が測量や分筆の手続き行って樹林帯分を取得し、その残り部分を県が取得する、というやり方でやってきた。
測量費が大きくなって経費がかかりすぎる。
☆ 共有者全員の同意をもって分筆することがなかなか困難。進捗しない。
☆ 必要な部分を持分割合で取得することを検討している。
☆ 公有地化事業 全体で78%取得。
残り22% 樹林帯に係る分は13%、樹林帯に係らない分は9%
☆ 管理状況 情報無し(何もやっていない?)
管理道は町道として揖斐川町
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ここで把握した限りでは、「公有地化事業」は、「用地取得事業」としてしかやっていない。これも、樹林帯に係る部分は2009年から何もやっていない(同意が得られない云々以前に「やっていない」)。
「山林保全」に関しては全くもってほったらかしなのか?。
250億円近い「山林公有地化事業」の費用は、何のために岐阜県に渡されたのか?
「ダム建設事業費から出されているのだからダム建設のため。ダム建設が終わってしまえば『それまで』」か?…だとしたら「わかり易すぎ」。
1996年、徳山ダム建設促進の立場で旧村民らのまとめ役をやっていたHさんらは、徳山ダム審を期に「残存山林の公有地化をと求める」要望書を出していた。まだその当時は旧村民が、山林の手入れのために車で通っていた。「それも自分らの代までだ。次の世代は山を知らないし、関心ももたない。もう徳山村には足を向けなくなっている。残存山林は行政がしっかりと面倒みて貰わなければ困る。村を丸ごとなくしたのだから、当然のことのはずだ」とHさんはおっしゃっていた。2003年に「徳山ダム公有地化」の話が突然浮上したとき、Hさんは「自分らには一言もなく、頭越しに!」と憤っておられた。
ダム推進・反対云々ではなく、「ふるさとの山を守りたい」という徳山村民の願いがあった。
西谷道路を建設しない、ということが、当時の水機構や中部地整の説明通り、「山林保全、環境保全」のためであるなら、ただただ用地取得が自己目的化しているとしか思えない現状は一体なんなのだ?
岐阜県河川課の担当者と話しているうちに涙が溢れてしまった。
岐阜県に情報公開請求をした。
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2003年度以後直近までの「徳山ダム山林公有地化事業」に関連した岐阜県の支出。
公有地化のための土地取得費用・管理用道路費用・実際の山林の管理のための費用
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請求した文書は入手したが、なんせ「お金の数字」ばかりで、この事業の現状がどうなっているのかはわからない。
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2014.2.25中日新聞

2012.2.25岐阜新聞

新聞記事を見ても相変わらず、「わからない」
岐阜県は(そしてこの制度を導入した国交省の)説明責任が片鱗も果たされていない。
250億円もの公金が投入されている「徳山ダム周辺山林公有地化事業」。「山林の保全」が目的とされているはずだ。なんとか見えてくるのは「○○%取得した」という土地取得状況ばかり。
山林の現状、保全対策の現状は、少しも見えて来ない。
250億円はハンパなお金でなない。
本来目的であるはずの「(徳山)ダム周辺の山林保全措置」の現状が、納税者、ダム建設費の負担者には一向に説明されないままで良いはずがない。
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4月1日、この岐阜県の「徳山ダム周辺山林公有地化事業」の担当は、【県土整備部河川課】から、【都市建築部水資源課】に移ったとか。この【水資源課】担当者とも「親しく」して貰わなくちゃ。
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雪柳の「とき」は長かった。
