「徳山ダムの今」-(3) |
<承前>
徳山ダム審の発電事業の不透明の続き。
事業費大幅増額問題、Jパワーも資源エネルギー庁も「少しでも増額することは認めがたい」といいながら、結局は(揚水発電をやめたこともあって)総発電量は大幅に減らした上で、少し(約)12億円)とはいえ負担を増額して決着した。合理的な経済的判断ではなく、「諸般の事情」を考慮した半官会社の判断・・・・。
そのほとぼりが冷めたか冷めない2007年3月。
朝日新聞2007年3月14日

2007年3月13日 中部電留翌(株)プレスリリース
http://www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2007/0313_2.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
徳山発電所計画の事業主体変更について
平成19年3月13日
電源開発株式会社
中部電力株式会社
Jパワー(電源開発株式会社,本店:東京都中央区,社長:中垣 喜彦)および中部電力株式会社(本店:名古屋市東区,社長:三田 敏雄,以下「中部電力」)は、本日、Jパワーの徳山発電所計画に関し、徳山ダム完成(平成20年3月予定)後に事業主体をJパワーから中部電力に変更することで合意しました。
徳山発電所計画は、昭和57年12月の第90回電源開発調整審議会において電源開発基本計画に組み入れられて以来、Jパワーの開発地点として中部電力との協調のもと取り組んできたものです。
この中でJパワーおよび中部電力は、電気事業を取り巻く経営環境の変化も踏まえ、徳山発電所計画の進め方について、検討・協議を進めてきました。
その結果両社は、今後、徳山発電所計画について、建設から運転・保守に亘る各段階で効率性をより一層高めることにより、これまで以上に経済性を追求していく必要があるとの認識のもと、事業主体をJパワーから中部電力に変更することで合意に至りました。
なお、事業主体を変更するにあたって発電所計画に変更はなく、計画どおり平成26年度運転開始を目指して開発を進めてまいります。また、事業主体変更に伴う諸手続き等につきましては、今後、関係する皆様と調整させていただく所存であり、事業主体変更までの間は、引き続きJパワーが責任をもって徳山発電所計画を推進してまいります。
本計画の推進にあたり、これまでの地元および関係者の皆様からのご協力に対してあらためて御礼申し上げますとともに、今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。
以上
<別紙>
徳山発電所計画の概要
徳山発電所計画は、独立行政法人水資源機構(以下「水資源機構」)が岐阜県揖斐郡揖斐川町(旧藤橋村)に建設中の徳山ダムに発電参加し、ダム下流直下に設ける発電所で最大出力15万3千kW(1号機13万kW・2号機2万3千kW、最大使用水量100.4m3/s)の発電を行う計画であり、平成26年度の運転開始を予定しているものです。
なお徳山ダムは、水資源機構により平成18年9月から試験湛水が開始されており、平成20年3月に完成予定です。

○主要開発経緯
・ S32年 12月 第23回電源開発調整審議会において揖斐川を電源開発(株)の調査河川に指定
・ S51年 5月 建設省告示「徳山ダム建設事業に関する事業実施方針」
・ S57年 12月 第90回電源開発調整審議会において電源開発基本計画に組入れ
(中部電力(株)の杉原ダムを下池とする40万kW揚水計画)
・ H12年 5月 徳山ダム本体工事着工
・ H16年 5月 発電計画変更
(40万kW混合揚水・平成20年度運転開始→15万3千kW一般水力・平成26年度運転開始、中部電力(株)杉原発電所計画取り止め)
・ H18年 9月 徳山ダム試験湛水開始
以上
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いったいいくらで譲渡したのか?納税者・主権者として国策会社であるJパワーの長々のーナーの一人であり、現に中部電力(株)の株主でもあるのだから大いに関心がある。
しかし、この契約内容(特に金額)は明らかにされていない。かつてはJパワーを監督する立場であって資源エネ庁は「民対民のことだから、それぞれの会社にお尋ね下さい」。そしてJパワーも中部電力も「詳細にわたることは、公開できない。企業経営上の秘密である」。
前から秘匿体質に固まっている中電はもとより、「完全民営化」されたJパワーもとりつく島もない。
それまでツッコんだ税金の行方もわからなくなってしまったのだ。
1997年から10年間、毎年、株主総会の質問で「徳山ダムの発電コストは高いのではないか?」と中電に尋ねてきた。木で鼻を括ったような回答ながら、それは否定してこなかった。つまり、真っ当に計算すると「徳山ダムの発電コストは高い」のだ。
総発電量42万kWの時も高かった・・・だったら、15万3000kWだったらもっと高コストなはずだ。Jパワーがかけた金額をそっくり肩代わりしたとしたら、中電取締役のほうが経営責任を問われかねないほどに。「中電は徳山ダム水力発電所の権利を徹底的に買い叩いた」「Jパワーが注ぎ込んだお金よりも遙かに低い金額で中電は買い取ったに違いない」と私はみた。
だが、それは明らかにされない。
つまりJパワーを「民営化」することで税金のムダ使いを隠したのではないか?のです。「民営化という情報隠し」を思い知らされた。
◇ ◇

この項、続く