荒崎水害訴訟終結(4) |
(承前)
前回記事でリンクを張った以前の記事から繰り返し引く。
1) 流域治水「滋賀モデル」/荒崎水害 記事(3) [ 2012-01-16 17:10 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/17081513/
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<建設省中部地方建設局木曽川上流工事事務所『台風6号調査報告書』1976年5月>
★ p67
「当地区(注・大垣市荒崎地区のこと)は従来からの遊水池であり本来ならば家屋の建て得ない所である。当地区は下流部に牧田川、杭瀬川の狭窄部があり大谷川、相川の水がはけないために一時遊水地域として昔より利用されてきた所である。………当地区もいずれは締め切られるであろうが、締め切られるまでには、杭瀬川高淵の引き堤、相川、大谷川合流点から杭瀬川までの河道改修が行われた後になろう。そうでないかぎり、この洗堰を締め切ればその結果として、他の地区にその効果がおよび、より以上の災害が起こることは必至である。又、洪水は最終的には人為に制禦し得ないという立場をとるべきであり、超過洪水(計画規模を越えた洪水)が発生した場合により被害を小さくするにはこのような遊水地域はぜひとも必要である。」
★ p161
「・・・最も問題となったのは、大垣市十六町の湛水状況である。本地区は洗堰の設けられた遊水地域であり、現状においては、建築基準法の災害危険区域の指定を受けるような地域である。治水面からみた流域の土地利用のあり方を制度的な手法も加えながら検討する時期に来ているのではなかろうか。」
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2) 流域治水「滋賀モデル」/荒崎水害 記事(4) [ 2012-01-20 18:40 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/17097330/
★ 毎日新聞 2012年1月20日

記者の目:連載「リスクと向き合う」で水害取材=秋山信一
◇「あふれる」ことを視野に対策を
年末年始の連載企画「リスクと向き合う~3・11を経て」の中で、滋賀県が全国で初めて県全域で水害の浸水想定を行ったことを取り上げた。滋賀県は浸水想定図を近く公表し、危険区域では住宅の建築規制を検討する。これまで日本は水害対策でダムや堤防の建設など「水を閉じ込める」政策を重視してきた。今後はこれに加え、滋賀県のように「あふれる」ことを視野に入れた対策も必要ではないか。そのためには行政も住民もまず現実に起きうる目の前のリスクを分析すべきだ。
◇危険性知らずに次々住宅を建設
岐阜支局の記者だった04年、忘れがたい経験をした。
同年10月、台風23号の影響で、岐阜県大垣市の荒崎地区を流れる揖斐川支流の大谷川が氾濫、水は1.5キロ北西まで届き、750戸が床上、床下浸水した。被害面積937ヘクタールに及ぶ大災害になったのは理由があった。「洗堰(あらいぜき)」だ。川の堤防の一部をわざと低くし、川が氾濫した際、水を陸上に流す仕掛けである。
このせいで、荒崎地区は70年代に何度も浸水した。そして驚いたのは、この浸水リスクの高い土地に多くの住宅が建っており、当時の私の目の前で、あたり一帯の住宅が全て浸水していた事実だ。なぜこんな場所に、住宅を建て続けたのか。だが多くの住民らは「危険を知らずに住み始めた」と話すだけ。付近には公営住宅があり「公営住宅が建つぐらいだから安心な地域だと思った」と話す住民もいた。
昨年12月、荒崎地区を再訪した。水害の経験から洗堰は07年度にかさ上げされていたが、それでも隣接の堤防より約1メートル低いまま。そして、今も付近では住宅建築が続いていた。最近建った家の住民は「リスクが高いとは知らない」と話し、基礎を高くするなどの対策もとっていなかった。「浸水が繰り返されないか心配だ」。荒崎地区に住み、42年間で8回自宅が浸水したという中原敏昭さん(68)と同じ不安を、私も抱いた。
無論、洗堰には対岸や下流を危険から守る役割がある。堰を閉じれば、洪水時に水が流れ出ない分、下流の堤防にかかる水圧が増して危険になるからだ。度重なる水害の歴史から、今後、岐阜県は下流の堤防の補強工事などを行い、堰を閉じる予定だが、その完成は30年後だ。
水害対策には、ダムや堤防で洪水を防ぐハード型と、洪水が起きた場合に早期の避難などで被害を減らすソフト型がある。うち前者の動きは59年の伊勢湾台風を機に加速した。100~200年に1回の大雨を想定しダムに水をためて、残りは堤防で囲われた川に閉じ込める計画だ。
◇「ソフト」推進の通達生かされず
当時、国は並行してソフト対策も進めようとしていた。建設省(当時)は59年、水害リスクが高い地域を災害危険区域に指定し、建築制限をかけるよう都道府県に促す通達を出した。だが通達は十分には生かされなかった。危険区域は、全国の14道府県で131カ所(11年4月時点)しかない。荒崎地区は危険区域に指定されないどころか、75年には開発を促進する市街化区域に指定されてしまった。
「人が増えれば、税収も増える。開発を規制したがる自治体はない」。ある国土交通省の官僚はこう指摘するが、59年に「ソフト推進」の通達を出した後、その達成の検証を怠った国にも責任がある。住民の命や財産を守るという行政の最も重要な役割が、果たされなかったのである。
まず水害リスクの徹底した全国調査と公表が必要だ。滋賀県は中小河川や用水路も調査対象に加え、今の水害対策が想定していない1000年に1回程度の大洪水も含め、各レベルの洪水の危険度を調べている。また同県は、危険区域について避難場所の確保や改築工事への補助金支給なども検討している。これに加え、危険度に応じて住宅の建築を禁じたり、不動産業者に水害リスクの説明義務を課すことも有効だと私は思う。
取材で印象に残った光景がある。洗堰近くで東海道新幹線が、地上から高さ5メートル以上ある鉄筋コンクリートの高架上を走っていたことだ。JR東海によると線路は通常、土を盛り固めた「盛り土」の上を通す。だが荒崎地区では水害時に盛り土が削られるのを防ぐため、高コストでも安全な高架方式を採用した。
工事が行われたのは半世紀前。その工事前には、水害を前提にした十分なリスク分析がなされたに違いない。それが後世に生かされなかったとしたら残念だ。先人に学び、水害リスクと共存する社会を築く知恵は、今の我々にもあるはずだ。将来のリスクを減らすためにダムや堤防を造る一方で、今あるリスクへの対策が軽視されてはならない。
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3) 「(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案」に関する意見 [ 2013-08-20 18:15 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/20240141/
「(仮称)滋賀県流域治水の推進に関する条例要綱案」に関する意見
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota7/ryuikiiken.pdf

◇ 河川審議会中間答申 (2000年12月19日 )
「流域での対応を含む効果的な治水の在り方について」 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/past_shinngikai/shinngikai/shingi/001219index.html
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この項、続く。