司法は生きていなかった?! ~ 導水路裁判1審判決 ~ |
7月24日、徳山ダム導水路(木曽川水系連絡導水路)住民訴訟(隊愛知県、公金支出差止訴訟)の1審判決が名古屋地裁で言い渡されました。わがメゾソプラノ裁判長(福井章代裁判官)は、名古屋地裁に着任して約3年。丁寧な審理をするけど、行政追随かつ中味の薄っぺらな判決の主で知られています。
それにしても・・・画に描いたみたいな不当判決。徳山ダム裁判の判決よりも中味がない。
河川行政の先祖返りに合わせて、裁判も先祖返りかいな。
2014.7.24 中日新聞夕刊紙面から
◇ 2014.7.24 中日新聞夕刊PDFファイル。
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/20140724chunichiyu.pdf
導水路はいらない!愛知の会
http://www.dousuiro-aichi.org/
判決を受けての
「導水路はいらない!愛知の会」「徳山ダム導水路公金支出差止住民訴訟弁護団」声明
http://www.dousuiro-aichi.org/pdf/20140724_Seimei.pdf
8月3日に、5周年総会と「控訴」総決起集会を行います。
http://www.dousuiro-aichi.org/pdf/20140803_5syunen_kouen.pdf
◇ ◇
◇ 朝日デジタル
★ 2014年7月24日18時42分
大村知事 24日 木曽川導水路、考え色々
http://www.asahi.com/articles/CMTW1407242400003.html
木曽川水系導水路事業は不要だとして愛知県の住民グループが県に支出差し止めを求めた訴訟の判決が24日にあり、訴えが棄却されました。判決について、愛知県の大村秀章知事が記者団の取材に応じました。主なやりとりは次の通りです。
――判決への所感をお願いします。
これまでやってきたことを含めて、県の支出がいけないということ(の確認)を求めるという裁判ですから、行政として主張させていただいた。県の主張が認められたということで妥当な判決だと思います。
国、水資源機構におきまして(導水路の必要性の)検証作業が行われているので、粛々とやっていただきたい。私もこれについては見直すということを申し上げておりまして、その考えは変わっておりません。そういう場があれば、考え方を申し上げていきたい。
――判決が妥当というのは、県にとって水需要があるということについてですか。
いえいえ。行政がこれまでやってきたことをすべて否定するという訴えだったので、県の主張をさせていただいた。そのことが認められた判決だったので、妥当だとしたということです。
――国土交通省が設けた検証委員会に県も参加していますが、これまで開かれたのは一回で、議論が少ないという指摘もあります。
たくさんの事業者も関わる話だから、これからじゃないかなと思いますよ。
――導水路事業の見直しの考えは変わらないとのことですが、導水路の必要性についてどうお考えですか。
それは、いろんな考え方があると思いますよ。いろんな場面で様々なことについて、考え方を申し上げていきたいです。
――見直しについての考え方ということですか。
見直しのことを申し上げているのであって、そういう場があれば考えを申し上げていきたいです。
――名古屋市の河村たかし市長は、「極めて残念な判決だ」とおっしゃっていました。
特にコメントはありません。河村さんのお考えですから。
★ 2014年7月24日19時05分
河村市長 24日 裁判官座って考えるだけ
http://www.asahi.com/articles/CMTW1407242400004.html
木曽川水系導水路事業は不要だとして愛知県の住民グループが県に支出差し止めを求めた訴訟の判決が24日にあり、訴えが棄却されました。判決について、名古屋市の河村たかし市長が記者団の取材に応じました。主なやりとりは次の通りです。
――判決への所感を。
これは極めて残念です。役所がいったん決めたことは変えやせんでね。残念です。
判決をざっと読みましたけど、水需要は課題だったということを踏みこめずに、必要というような話になっているわけでしょう。ダムでは貯水量が減ってくると、農業用水なんかを調整するわけですよ。木曽川でももう農水といっしょに考えましょうということをやらんといかん。
揖斐川から木曽川に混じってくるんですけど、水道と農業用水を調整できるんじゃにゃーかと言ってますけど、木曽川で農業用がどんだけ使われておるんですか、と。これ数字は忘れましたけど、その辺のところを一度よう相談してやるのがええと思いますよ。木曽川はみんなのものなんで。
農業用水が大きな意味を持っているのはわかっておりますが、やっぱり色んな技術が発達して、工業用水なんかでも新しい水を使わなくてもいいような技術がどんどん出来ている。僕はそういう方向に踏み込んでいくべきだと。いったん役所が決めた、こんだけ水が必要だというのを当たり前だというのがいいとは思いませんね。
よく言われるのが、「平6渇水」(平成6年の渇水)というのがあるんですけど、知多半島で水が止まりましたけど、もっと早い段階で農業用水を調整していれば断水も避けられたんじゃないかと思っているんですよ。そういうことやって、木曽川の水は農業も工業も水道もみんなのものなんだで、シェアする方向に行くべきなんだろうと思います。
民主党政権の時にも大臣にも電話しましたけど結局返事が来なかった。一緒にやろみゃあと農水にも申し入れておきましたけど。
新聞にはわしが「後退した」というようなことが書いてあったけど、後退じゃない。昔から言っていること。まあダムは作ってしまったので壊せと言うことはいいませんが。伊勢湾の環境用水に使ったらどうだという話はしていますけど。伊勢湾をきれいにするような…この辺はもっと深めないかんけど。
――判決理由に、事業計画で予測した水需要と実際の差は誤差の範囲だとありました。
裁判官は座っとって考えるだけ。役所のことは間違ってにゃーと言っとるようなものだ。誤差の範囲内とはとても思いません。裁判はそうかもしれませんけど、行政は世の中をどうしようかと考えるものであって、木曽川はみんなのものだから、渇水を避ける方法を一緒に考えるのが解決の道ですよ。
――大村知事は判決について、「極めて妥当」と言っています。
それは知事は知事の考えがおありになると思いますけど。元々反対しとったからね。長良川河口堰も反対だったし。それで徳山ダムもいらんと。渇水のことは農業用水と調整すればええと言ってきましたから。(自身の)その考えは変わってません。
――導水路事業について国土交通省が設けた検証委員会が、2011年に初めて開かれて以来、止まっています。議論が深まっているとお考えですか。
思ってないですね。農業用水の話は出てこんもん。
――農業用水以前に、木曽川水系で水をどう使うかという話ですが。
いや、木曽川が渇水になったら困るからという理由でやっているんでしょう。ほんなら木曽川の水をよく使う農業用水なんか、実際どんだけ使っているんだ。どう調整するか。そういうのをやってない。
――そのあたりの議論を、名古屋市としてどう進めていく考えですか。
まあわしは民主党政権時代に農林大臣に何度もいいましたけど。2~3回電話しましたよ。副大臣も含めて。結局何もなしですわ。
――市として農業用水について調べたり、検討するための委員会を作ったりというのはどうでしょう。
まあ一辺それも考えてみましょうか。だって動きゃせんわな。
――平成6年の渇水以降そういう調整ができていないというのは、実際難しいからではないですか。できる見通しはあるのですか。
それをやるようにせないかん。知多半島は何日か断水しましたよね。それを金科玉条のように言われる。しかし農業用水を早く調整すれば避けられたという話もある。
――でも実際、調整はできていません。
名古屋市が言える態勢を作るのを呼びかけるのはいいと思いますよ。そういうことをやれるいいチャンスなんですよ。
◇ 岐阜新聞 2014.7.24 夕刊
◇ 2014.7.25 中日新聞 社説
◇ ◇
7月26日夜。ウチの3階から見えた揖斐川花火大会の花火。
頭打ちの水需要に巨費を投じることは妥当か、との訴えを、裁判所は「国の適正な計画に基づいた支出で違法性はない」と退けた。でも、計画は今も妥当といえるのか。今度は政治が考える番だ。
高度成長前夜の一九五七年に計画され、岐阜県の揖斐川上流に二〇〇八年に完成した徳山ダムは、最後の巨大ダムともいわれる。
その徳山ダムから木曽川への導水路事業をめぐる住民訴訟で、名古屋地裁が住民側の訴えを退ける判決を出した。
住民側は、木曽川流域の水需要は事業計画時の予想を下回っている、などとして導水路は不要だと主張。愛知県と県企業庁に分担金三百十八億円を支出しないよう求めていた。
裁判所は、水の需要予測は「一般に不確実性を伴うため、想定値と実績値との間にある程度の誤差が生じることはやむを得ない」などとし、違法な支出には当たらないと結論付けた。
徳山ダムは三千五百億円を投じて建設された。当初は高度経済成長で増え続ける水需要に対応するため利水に重点を置いた計画だったが、技術革新や景気低迷を背景に、都市用水の需要は頭打ちに。国や水資源機構は、治水や河川の環境保全、異常渇水対策の必要性を強調し、ダム不要論を押し切って計画を進めてきた経緯がある。
八百九十億円を投じ、全長四十三キロにも及ぶ地下トンネルを掘る導水路計画は、その過程で浮上した。導水路がなければ愛知県などの下流域で徳山ダムの水が使えない、というのである。
その一方で、人口減少の時代に向かう中、巨費に見合う水需要はあるのか、という批判も次第に強まっていた。
名古屋市の河村たかし市長は〇九年五月、「水の需要は減っている。導水路は要らない」と事業からの撤退を表明。同年十月には、当時の民主党政権が導水路を含む各地のダム事業を凍結。愛知県の大村秀章知事も、一一年の知事選で事業見直しを掲げていた。
凍結された導水路事業の検証作業は停滞し、宙に浮いた状態のまま今回の判決を迎えた。違法な支出とはいえない、という判断が、事業再開のゴーサインというわけではないだろう。
渇水や洪水への備えは万全でありたい。だが、想定ほどの水需要が見込めない時代を迎え、導水路事業への巨費投入が妥当だといえるのか。将来を見据え、政治が判断しなければならない。