やっぱりいた!イヌワシ・クマタカ~「ウインドパーク南伊吹」事業地~ |
大垣警察署のおかげですっかり「本腰を入れる」ことになってしまった。
8月11日に、岐阜県(県警ではない)に対して情報公開請求をしていた。
- - - - - - - - - - - - - -
・ 2011.2.18に岐阜県知事意見が出されているウインドパーク南伊吹風力発電事業(仮称)に係る(株)シーテック作成の環境影響評価方法書
・ 同事業に関するその他の情報
- - - - - - - - - - - - - -
環境影響評価方法書については別に大垣市にも開示請求を出し、受け取った。
↓ 以下の記事の中にPDFファイルで方法書を掲載
・ 岐阜県警が中電子会社に住民運動潰し指南 その7[ 2014-08-26 23:50 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/22834641/
目一杯の延長(15日間+30日間)があって、9月24日付で、5つの部署(本庁環境生活部環境管理課、本庁林政部治山課、本庁都市建築部都市政策課、西濃農林事務所林業課、西濃振興局振興課)から2168枚の開示決定があった。
10月2日に県庁に赴き、重複分や、余りの黒塗りで無意味なものなどを省き、1452枚を受け取ってきた。
◇ ◇
膨大な文書量であるし、一番「面白い」ところは黒塗りである。なので、まだ詳細な分析に至っていないが、「やっぱりいた!イヌワシ・クマタカ」である。
↓ 希少種、主にイヌワシ・クマタカの確認位置に関するこういう「全面黒塗り」が88枚分ある。
イヌワシ 天然記念物、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類、 岐阜県RDB I類
クマタカ 環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類、 岐阜県RDB I類
環境影響評価方法書の原案(2010年5月頃)では、33種しか挙げられていなかった「生息記録がある貴重な動物種(鳥類)」が、実際に縦覧に付す方法書となった段階では139種になり、ここにイヌワシ・クマタカが登場している(。
つまりシーテックが出してきた原案に誰も何も言わなければ、イヌワシもクマタカも調査の対象にならず、「消されて」しまっていたのである。超ヤバ。
◇ ◇
方法書に記載されたので、調査対象となった。
2012年8月に、準備書作成に向けた「ウインドパーク南伊吹風力発電事業環境影響評価現地調査結果中間報告書」が(岐阜県に)報告された。
その中の「肝心なところ、肝心であるが故に黒塗り」が上の写真である。
それでも全面黒塗りにキャプション部分や、「ウインドパーク南伊吹風力発電事業に係る環境影響評価現地調査 猛禽類行動圏調査:クマタカ出現状況(H22.1~H24.8)」「ウインドパーク南伊吹風力発電事業 イヌワシ調査 中間まとめ」という文書名から、イヌワシ・クマタカの存在は明らかだ。
この「中間報告書」は、2012年に法アセスに移行する直前の駆け込みで「変更届」を出すだけで、事業地の大幅な拡張を行った際に、岐阜県に提出されたものである。 。
(参照)
・ 岐阜県警が中電子会社に住民運動潰し指南 その7[ 2014-08-26 23:50 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/22834641/
ウィンドパーク南伊吹 環境アセス 対象事業変更届 2012.8
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/assess7.pdf
ウィンドパーク南伊吹 環境アセス 追加分調査実施計画書(案)2012.8
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/assess8.pdf
環境管理課は、岐阜県環境影響評価審査会の委員に個別で(文書等で)「変更届」への意見を訊いた。
それに対する回答が以下。
2012.8 変更届に対する岐阜県環境影響評価審査会意見
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/no80iiniken.pdf
この枠内では記載できなかった浅野玄・岐阜大准教授の意見は以下。
2012.8 変更届に対する岐阜県環境影響評価審査会意見(浅野意見)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/no80asahoiken.pdf
浅野意見の一部を抜粋する。
- - - - - - - - - - - - - -
中間報告書では希少な猛禽類の生息が事業実施区域内外で確認されている。
特に天然記念物・環境省RL(EN)・岐阜県RDB I類のイヌワシは風力発電機位置を除くとはい(黒塗り)確認されていることは重大な問題である。また,環境省RL(EN)・岐阜県RDB I類のクマタカは(黒塗り)複数個体が確認されている。その他にも、岐阜県RDB記載種の事業実施区域外での生息が確認されている動物種が少なくない。
当初から、私は以下の通り意見を出している。
『当該山系にはイヌワシ、クマタカが複数つがい生息していることが明らかになっている。イヌワシ、クマタカの行動範囲は極めて高く、建設予定地は彼らの行動範囲を避けることはほぼ不可能である。イヌワシ、クマタカは、たとえ発電施設が営巣木・地から2km(影響のある範囲と試算している)離れていても、建設時やメンテナンスの際の、車や人の往来そのものも含めて、彼らの行動に影響して繁殖を阻害する。さらに、開発によってオープンとなった地域は、イヌワシ、クマタカなどの猛禽類の餌となる小動物を誘引して彼らの狩場を提供することになり、彼らがバードストライクに合う可能性を高めることが強く予想される。このことは、他社ではあるが、イヌワシの生息が確認されていながら、営巣木から遠いために飛来頻度も低く影響はないだろうとの根拠で事業が進められた釜石風力発電事業におけるイヌワシの衝突事故の発生(2008年)でも明らかである。他の委員や市民からも意見が出ているとおり、イヌワシ、クマタカは繁殖が2年に1度であるため、調査地点の増カロ、調査年数(最低2年)の延長を要求する。渡りについても春と秋に2年間行うべきである。特に猛禽類の調査は専門的な技術を要するため、この地域でも専門的に調査をしている団体(例えば日本イヌワシ研究会など)に正確な調査を依頼すべきである。』(ここまで)
(以下略)
- - - - - - - - - - - - - -
『たとえ辺縁部であっても,イヌワシの衝突事故が起きる可能性がある。』のである。クマタカは複数つがいが繁殖している。
さて、シーテックは、岐阜県は、どうする?
◇ ◇
伊吹山はイヌワシの写真を撮る人たちにとっては有名である。環境省絶滅危惧イヌワシを水平方向や、ときに見下ろす位置から写真が撮れる。しかも繁殖地なので、「三つ星ダカ」(イヌワシ幼鳥)も比較的よく見ることができる。
そして、徳山ダム問題のおかげで、ちょっとだけ日本野鳥の会の会員であったことがあるという程度の強う類シロウトにすぎない割りには、イヌワシ・クマタカに詳しくなってしまった。
美濃の福井県境から滋賀県境にかけてはイヌワシ・クマタカのの高密度の繁殖地である。
北方系のイヌワシはほぼ南限に近く、南方系のクマタカはほぼ北限に近い。両方が高密度に生息している、貴重な場所なのだ。
そんな予備知識からして、「いるに違いない」と考えていた。
◇ ◇
1995年12月、徳山ダム建設事業審議委員会が設置されて、私たちは「徳山ダム建設中止を求める会」を立ち上げた。1996年3月、建設省中部地建への最初の要望書は「イヌワシが生息しているはずだから調査せよ」であった。同じく3月に、水資源開発公団もイヌワシの生息可能性を認めて「3年間調査する」と発表した。
そして1999年5月、西谷道路の工事の影響でクマタカFつがいの育雛が失敗し、1ヶ月間全工事が止まった。水資源開発公団の助言者」となっていた3名が「十分なデータを提供されない」と抗議の辞任をした(8月)。水公団はそれまでの3年間の調査データの解析をNACS-Jに依頼し、NACS-Jは、解析結果を水公団に提出するにあたって「最低3年間は工事を止めて調査すべし」と言った(1999.12.10)が、水公団は即刻(翌日)それを蹴った。「事業を進める立場。学術調査を行うところではない」と。
そして
•徳山ダム湛水域のイヌワシは消された!![ 2011-01-26 21:20 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/15399942/
だが、徳山ダム事業地の猛禽類調査データが一級資料であることは間違いない。
(国交省はこの生データを環境省に渡そうとしなかった・・・曰く「ウチの予算で調査したものですから」。冗談ではない、国交省のカネではなく、納税者とユーザーが負担しているのだ。怒鳴りつけ、国会議員にも依頼し、何とか貴重なデータは環境省に渡ったが・・・環境省の及び腰も見てしまった)
2011年、岐阜県に、内ヶ谷ダムの環境調査資料の情報公開請求をした際、「希少種保護のため、『種名』も全部黒塗り、貴重種は存否も明らかにしない」とやられて驚いた。しかし、この徳山ダムの事例があるので、異議申し立てで約1年間揉んで、種名については、明けさせることができた(運用を変えさせた)。
•内ヶ谷ダム環境調査資料開示への異議申立て→ほぼ通りました[ 2012-03-07 13:50 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/17281216/
このことがあって、今回はイヌワシ・クマタカの存在が明らかになったのだ。
やっぱり問題があるときは、「問題だ」と異議を唱えておく意味はある。
(特にこんな時代だから「黙っていてはアブナイ」)
◇ ◇
十数年かかって、少しは進歩したといえるか。
安倍という災厄を放置すると、この「少し」も全部「なきもの」にされる。
安倍に80年前を「取り戻」させるわけにはいかない。
◇ ◇
情報開示を受けるために岐阜県庁に行った丁度その日に県議会で、この件の質問があったので傍聴した。
質問する大須賀しずか議員。
岐阜県議会HP
第4回定例会発言通告書記載事項一覧表(PDF:364KB)
http://www.pref.gifu.lg.jp/gikai/teireikai/heisei26/dai4/hatsugen26-4.data/26-4tuukoku.pdf
上のPDFファイルから、大須賀さんの質問(便宜のため、A、Bとふります)
- - - - - - - - - - - - - -
○ 大垣市上石津町における風力発電事業ついて 大垣市上石津町における風力発電事業ついて 大垣市上石津町における風力発電事業ついて
A・ 今後の対応について 今後の対応について
B・ 県警による情報漏えいつて 県警による情報漏えいつて
① 情報漏えいの有無につて 情報漏えいの有無につて
② 目的について
③ 情報収集対象の選定基準について 情報収集対象の選定基準について
④ 当事者による要求への対応ついて 当事者による要求への対応ついて
⑤ 元警察職員との連絡について 元警察職員との連絡について
⑥ 警察法に基づく違性ついて
- - - - - - - - - - - - - -
Aに対する知事答弁= 「地元の方々の声も届いている」
「環境アセス準備書において厳正に対処したい」
Bに対する岡・岐阜県警本部長の答弁=「確認中。回答は差し控えたい」
これに対する大須賀さんの再質問=「確認というのはいつまでか?どんな内容か?」
岡・岐阜県警本部長の答弁「本事案の全体を確認する」
素っ気ないなどというものではない。それぞれ5秒か7秒か。
◇ ◇
この項、続く。