3.12の証拠保全手続きについて(中) |
•3.12の証拠保全手続きについて(上)[ 2015-03-13 23:46 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/23780428/
の続き。
1月中旬までの経緯に関しては以下にまとまっている。
ご一読頂けると幸甚である。
証拠保全申立書 PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/1501shokohozenmoushitate.pdf
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<「申立ての趣旨」の目次>
第1 証明すべき事実
第2 保全の事由
1 当事者
(1) 申立人ら
(2) 相手方
2 申立てに至る経緯
(1) 「岐阜県警が個人情報漏洩」との新聞報道(疎甲1の1)
(2) 相手方は警察との情報交換を行い、議事録を作成したことを認めていること
(3) 申立人らによる抗議・要求とこれに対する警察及び相手方の対応
(4) 小括
3 警察及び相手方の責任
(1) 権利侵害ないし違法性
(2) 責任原因
4 保全の必要性
(1) 訴訟提起の準備
(2) 議事録等の必要性
(3) 警察の対応
(4) 相手方が隠蔽又は改竄するおそれ
第3 結論
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ここから、「第2 保全の事由/2 申立てに至る経緯」を抜粋する。
なお、”疎甲”にいれた ①~㉔ は 「 証拠保全/ 証拠説明書 PDFファイル」に近藤が手書きで付した番号である。
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2 申立てに至る経緯
(1) 「岐阜県警が個人情報漏洩」との新聞報道(疎甲1の1-①)
ア 2014年7月24日付け朝日新聞朝刊(疎甲1の1-①)は、「岐阜県警が個人情
報漏洩」との見出しで、「岐阜県大垣市での風力発電施設建設をめぐり、同県警大垣署が事業者の中部電力子会社「シーテック」(名古屋市)に、反対住民の過去の活動や関係のない市民運動家、法律事務所の実名を挙げ、連携を警戒するよう助言したうえ、学歴または病歴、年齢など計6人の個人情報を漏らしていた。」と報じた。
イ この記事によれば、朝日新聞社は、相手方の風力発電部の地域対応グループが
大垣署警備課長らとの協議内容をまとめた「議事録」を入手した。入手した議事録は2013年8月7日、2014年2月4日、同年5月26日、及び同年6月30日の4回分であり、これら議事録の内容も「大垣署とシーテックの主なやりとり」として別掲されている。そして、これら議事録に基づいて、「一部の反対住民(注:申立人MS及び申立人MTのこと)を「自然に手を入れる行為に反対する人物」とし、大垣市在住でダム反対などの運動家・近藤ゆり子さん(65)(注:申立人近藤ゆり子のこと)や、同市内の法律事務所「ぎふコラボ」との連携を心配していることを示した。」「大々的な市民運動へ展開すると事業も進まない」「平穏な大垣市を維持したい」などとして、今後の情報交換を依頼。その際、近藤さんについて「60歳過ぎ」「東大中退」などと伝えた。その後も、警備課は「ぎふコラボ」事務局長(注:申立人Fのこと。実際にはこの報道時点では「元事務局長」である。)の名前を教え、「病気で、次の行動が取りにくい」(5月26日付)、「(反対)住民の一人が、ぎふコラボ後援会役員になった」(2月4日付)と教えていた。」と報じている。
ウ 別掲された「議事録」によれば、申立人らについて、以下のような内容で個人情報が相手方に漏洩されている。
・ 申立人MSについて
「風力発電に関わらず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物である」
「活発に自然破壊反対や希少動物保護の運動にも参画し、法律事務所の「ぎふコラボ」ともつながりを持っている。」
「ぎふコラボの後援会役員になった。風力発電事業に関して相談を行った気配がある。」
・ 申立人MTについて
「風力発電に関わらず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物である」
「活発に自然破壊反対や希少動物保護の運動にも参画し、法律事務所の「ぎふコラボ」ともつながりを持っている。」
「ぎふコラボの事務局長と強くつながって」いる。
・ 申立人近藤について
「自然破壊につながることに敏感に反対する」
「(大垣)市内にいる」
「60歳を過ぎているが、東京大学を中退しており、頭もいいし、しゃべりも上手である」
「風力発電事業の反対活動に本腰を入れそうである。反原発、自然破壊禁止のメンバーを全国から呼び寄せる(懸念がある)」
・ 申立人Fについて
「MT氏は、ぎふコラボの事務局長と強いつながりをもっている」
「現在、事務局長は病気のため入院中である」
エ また、掲載された議事録によれば、大垣警察は「今後、情報をやりとりするこ
とで、平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いする。」とし(2013年8月7日)、相手方も「新しい情報が入り次第、連絡する。」として(2014年6月30日)、引き続き情報交換を行うことを相互に確認している。
オ なお、警察と相手方の行った情報交換は、単なる情報のやり取りを超えているので、これを「意見交換」あるいは「意見交換会」ということがある。
(2) 相手方は警察との情報交換を行い、議事録を作成したことを認めていること
朝日新聞の記事(疎甲1の1-①)によれば、相手方の加藤広・地域対応グループ長は議事録の存在を認め、警察情報について「いろんなことを知っていた方が良い」と答えた。
また、同日の朝日新聞夕刊(疎甲1の3)では、相手方の秘書・広報担当課小川十永課長は、大垣署から得た反対派住民らの個人情報を記した「議事録」を作成していたことを正式に認めたとのことである。
なお、相手方の回答からすれば、朝日新聞社が入手した4回分の議事録以外にも、別の日時の議事録が存在している可能性がある。
(3) 申立人らによる抗議・要求とこれに対する警察及び相手方の対応
ア 警察
(ア) 岐阜県警察本部宛抗議・要求
申立人らは、2014年7月31日、岐阜県警察本部長宛「抗議・要求書」を提出した。(疎甲2の1-④)
「抗議・要求書」において、「今回明るみに出た岐阜県警(大垣警察署)の行為は、・・・日本国憲法下の警察が断じて行ってはならない行為です。」と指摘した。
そして、以下の5点について、8月31日までに回答するよう求めた。
①上石津町に計画されているシーテックの風力発電事業に反対している上鍜治屋地区住民の活動への監視・敵視・干渉を即刻やめること。シーテックとの「意見交換」は、今後一切行わないこと。
②今回報道された件に関する事実解明を徹底的に行い、当事者に全面的に公開すること。
③原因を究明し、類似事案の存否を調査し、再発防止の施策を明らかにすること。④市民監視と市民運動敵視を即刻やめること。私企業に個人情報を提供することを即刻やめること。
⑤岐阜県警察本部長は、私たちに謝罪をすること。
ところが、8月31日を過ぎても何ら回答はなされなかった。
その後、同年10月2日の岐阜県議会本会議で、大須賀志津香議員が岐阜県警本部長に対して「情報を漏らした事実はあったのか」などと質問したところ、「いずれの質問も答えを差し控える」などと答えた。この対応については、後日、県議会の洞口博議長から「誠意を感じられない」「答弁に配慮してほしい」と注意を受けたとの報道がなされた(疎甲7-⑯)。
そうしたところ、申立人らの岐阜県警察本部長宛「抗議・要求書」に対し、同年11月19日付けで、県警本部長から「回答」が送付されてきた。それによれば、「岐阜県警察として、本件に係る事実関係を慎重に確認したところ、大垣警察署員の行為は、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一貫であると判断しました。以上をもって回答といたします。」と、木で鼻をくくったようなものであった。(疎甲2の2-⑤)
(イ) 岐阜県公安委員会委員長宛て苦情申立て
申立人らは、前記の岐阜県警察本部への抗議と同日、岐阜県公安委員会委員長に対しても同様の「抗議・要求書」を提出したが(疎甲3の1-⑥)、同公安委員会から「この形式では回答が難しい、警察法79条に基づく苦情申出であれば何か対処できるかもしれない。」とのことであった。そこで申立人らは、2014年11月10日付けで苦情を申し立てた(疎甲3の2-⑦)。
申立書では、
①岐阜県警(大垣警察)が、各申立人に関し、どのような情報を収集したのか、あるいは、収集した情報のうちどのような情報をシーテック社やそれ以外の民間企業等に対して開示したのかを調査の上、回答すること
②市民活動に対する情報収集活動、私企業に対する市民の情報を提供していた警察職員を明らかにした上、当該職員に対する処分結果についても開示し、公安委員会として誠意ある処理結果を示すこと
を、それぞれ求めた。
これに対し、同年12月5日付けで、岐阜県公安委員会から回答がなされた。(疎甲3の3-⑧)
その回答は、「岐阜県警察本部長の調査結果に基づき岐阜県公安委員会で検討した結果、大垣警察署員が㈱シーテック担当者と会っていたことは確認されましたが、これは、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環であると判断いたしました。なお、報道において名前を挙げられたとされる方々から岐阜県警察本部長宛に提出された文書に対しても、既に、同様の趣旨の回答がなされているものと承知しております。」というものであり、大垣警察署員が相手方の担当者と会ったことを認めた上で、それは警察の通常業務の一環である旨、いわば開き直ったものであった。
(ウ) 個人情報開示請求
申立人らは、それぞれ、岐阜県警察本部長に対し、申立人らに関する保有個人情報の開示請求を行った。
これに対し、岐阜県警本部長は、非開示決定(存否応答拒否)を行ったところ、その非開示決定通知書によれば「開示請求のあった保有個人情報の有無に関する情報は、これを開示することにより、警察が特定の個人に係る情報を収集しているか否かが明らかとなり、警察の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあるため、岐阜県個人情報保護条例第14条第5号に該当し、かつ、本件開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるため、当該保有個人情報の存否自体を回答できない。」というものであった(疎甲4の2-⑩)。
そこで申立人らは、同年10月、岐阜県公安委員会委員長に対し、岐阜県警本部長の非開示決定を取り消して保有個人情報の開示を求める旨の不服審査請求を行ったところ(疎甲4の3-⑪)、同公安委員会は同年11月7日付けで岐阜県個人情報保護審査会に回付した上で(疎甲4の4-⑫)、同年12月12日付けで、同審査会長に対し、「非開示決定理由説明書」を提出した(疎甲4の5-⑬)。
それによると、申立人らが開示を求めている個人情報は、「特定の個人が警察の情報収集活動の対象とされているか否かに関する情報が含まれているほか、警察の情報収集活動の着眼点や手法等に関する情報が記載されていることとなる。」(疎甲4の5-⑬、5(1)イ2段落目)とし、「特定の個人が警察の情報収集活動の対象とされているか否かは、警察の情報収集活動の対象(又は方針、関心事項)等に関する情報であり、これが明らかになることによって、犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報と認められることから、条例第14条第5号に該当すると判断した」(同5-⑬(2)3段落目)としている。さらに、「特定の個人に対する警察の情報収集活動に係る保有個人情報について開示請求が行われた場合は、当該保有個人情報の存否を答えるだけで、特定の個人が警察の情報収集活動の対象とされているか否かという事実が判明し、警察の情報収集活動の対象(又は方針、関心事項)等が明らかとなるため、条例第14条第5号に規定する犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報を開示することとなる。」(同5-⑬(3)2段落目)としている。
すなわち、申立人らの個人情報を収集しているか否か、収集した個人情報が存在するか否かを明らかにすることは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるから開示しないのは当然であるとして、警察がどのような情報収集を行うか否かについては、およそ開示の対象にはなり得ないということである。これは、警察は何をしてもいいという回答といえる。
イ 相手方
(ア) 抗議・要求書の送付
申立人らは、2014年8月4日、相手方に対し、抗議を行った(疎甲5-+⑭)。しかるに相手方からは、これに対する回答は何もなされていない。
(イ)個人情報開示請求
申立人近藤は、同月5日、相手方本社に赴き、相手方が保有している同申立人の個人情報の開示を請求した。(疎甲12-㉓)
しかるに、同月19日、相手方から届いた回答書には「調査の結果、ご本人に関する保有個人データが存在しない場合」の欄にチェックが付されて、開示はできないとあった(疎甲6)。
相手方は、個人情報開示請求手続きを形式的には設けているものの、申立人近藤に関する個人情報を有しているにもかかわらず、虚偽の回答をしているか、または個人情報についてデータベース化されておらず、制度としては形骸化しているものと考えられる。
(4) 小括
警察は、申立人らに関する情報の収集と収集した情報の相手方への漏洩を認めている。
その上で、そのいずれもが「通常行っている警察業務の一環」であると主張している。
相手方は、新聞報道では警察との意見交換の議事録を作成した旨認めたにもかかわらず、申立人近藤について保有する個人情報を開示しない。
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疎甲 関係 URL(☆印は記事中に画像を貼り付けたもの))
①~② 2014.7.24 朝日新聞名古屋本社版朝刊 PDFファイル
2014.7.24 朝日新聞名古屋本社版朝刊 PDFファイル 3ページ分
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/20140724asahi.pdf
④ 岐阜県警本部長宛「抗議・要求書」 PDFファイル
http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/140731.pdf
⑤ 岐阜県警からの回答(2014.11.19) PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/20141119keikeikaitou.pdf
⑥ 2014.7.31 岐阜県公安委員会宛「抗議・要求書」 PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/140731gifukouan.pdf
⑦ 苦情申立書 DFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/kujomoushitate.pdf
⑧ 2014.12.5 「苦情申出に対する回答」 (岐阜県公安委員会) PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/20141205kouaniinkaikaitou.pdf
⑩ (岐阜県警→近藤のもの/一般情報公開請求も併せて3通)
非開示決定通知書 PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/hikaijikettei.pdf
⑪ (近藤のもの)
2014.10.10 岐阜県警の非開示決定の取消を求める審査請求「理由」PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota9/20141010shinsaseikyuriyu.pdf
⑫ 個人情報保護審査会への諮問通知書
☆岐阜県警が中電子会社に住民運動潰し指南 その10[ 2014-11-13 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/23278275/
⑬ (近藤のもの)
非開示決定理由説明書 PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/20141212riyusetsumei.pdf
⑯ 2014.10.9 朝日新聞「県警本部長に注意-県議長」
☆岐阜県警が中電子会社に住民運動潰し指南 その9[ 2014-10-10 23:45 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/23097765/
㉓ 近藤陳述書 (20150113) PDFファイル
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota10/shokohozen_cinjutsu.pdf
◇ ◇
「下」に 続く
3月11日の庭。膨らんできた木蓮の蕾が雪をかぶった。