「議事録」と個人情報保護審査会と その2 |
•「議事録」と個人情報保護審査会と その1 [2015-04-18 23:29 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/23919328/
の続き
4月15日、岐阜県個人情報保護審査会の口頭意見陳述が行われました。

↑ 控室にて、当事者+代理人(シャッターを押した弁護士は画面に入っていないですが)
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改めてこれまでの経緯などを記者レク。
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☆大垣警察市民監視事件
2015,4,15 弁護士 山田秀樹
1 事件の発端
2014年7月24日付け朝日新聞朝刊において発覚
大垣警察による個人の情報収集とシーテック社への情報提供
提供された内容については、「議事録」を参照
2 これまで取り組んできたこと
①県警本部長に対する抗議・要求書の提出
②公安委員会に対する抗議・要求書の提出⇒警察法79条の「苦情申出」に変更
③県警本部長に対する個人情報開示請求
④検察庁への告発
⑤シーテック社に対する証拠保全の申立て
①②→大垣警察署員の行為は「通常行っている警察業務の一環」との回答。
③ →非開示決定(存否応答拒否)→行政不服審査法に基づく審査請求
④ →受理(検察官が捜査中)
⑤ →「議事録」その他の証拠保全の実施
3 今日の取り組み
③→個人情報保護審査会への諮問→審査請求人の口頭意見陳述
⑴ 諮問庁(公安委員会)の非開示理由説明書
「特定の個人が警察の情報収集活動の対象とされているか否かは、警察の情報収集活動の対象(又は方針、関心事)等に関する情報であり、これが明らかになることによって、犯罪の予防、鎮圧又は捜査等公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報と認められる」
∴条例14条5号の非開示理由に該当する。
⑵ 審査請求人の意見書
ア・個人情報保護法・条例は、憲法上の権利である自己情報コントルール権(プライバシー権の一内容)を確認し、具体化したものである。
・個人情報開示請求があった場合、開示が原則で、非開示は例外。非開示規定は、憲法上の権利である自己情報コントロール権の制約になるので、内在的制約にもとづく必要最小限度の制約しか許されない。
・条例14条5号の「公共の安全と秩序の維持」もそのように解釈される必要があり、「明白かつ差し迫った現在の危険」がある場合でなければならない。
・例示されている「犯罪の予防」「鎮圧」「捜査」は、現に犯罪が行われ、あるいは行われようとしている場合でなければならない。
・そのように理解しなければ、条例自体が憲法違反となる。
イ・では、本件にそのような「明白かつ差し迫った現在の危険」があるか。
・シーテック社の風力発電施設建設事業はまだ計画段階
・MS、MTは勉強会や陳情などを行っていただけ。
・F、近藤は風力発電施設建設反対の取り組みに参加していない。
・従って、「明白かつ差し迫った現在の危険」などありようがなく、「公共の安全と秩序の維持」のために情報収集をしたり、情報交換をしたものではない。
・大垣警察による情報収集や情報交換は別のところに目的がある。それは、時の体制に反対する市民運動つぶしが目的と言わざるを得ない。
・このような警察の行為は、警察法2条2項に違反する。
ウ・条例の非開示理由に該当しないので、速やかに開示されるべきである。
○岐阜県個人情報保護条例14条5号
「開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報」
○警察法2条2項
「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」
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代理人の意見陳述は主に下の(2)に基づいて行われました。
(2)2015.4.8 審査会提出意見書(全体)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota11/20150408kojinjohoikensho.pdf
(1)2015.2.27 審査会提出意見書(全体)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota11/20150227kojinjohoikensho1.pdf
弊ブログ
•個人情報非開示の「理由説明書」[2014-12-22 23:26 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/23467496/
私(近藤)は、2月に「理由説明書」への反論意見書を出していました。
2015.2.26 審査会提出意見書(近藤)
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota11/20150226kondo_kojinjohoikensho.pdf
しかし、その後に「議事録」が入手できたので、それを見て「反応」したことを主に述べました。
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2015.4.15 近藤 陳述
1.証拠保全で出た「議事録」から見えるもの
例:「近藤ゆり子は、徳山ダム建設中止訴訟を起こした張本人である」
☆ 「徳山ダム建設中止訴訟」とシーテックが計画している風力発電事業とはどんな関係があるのでしょうか?シーテックの事業に関連して予防すべき「犯罪」と「徳山ダム建設中止訴訟」がどう関係するというのでしょうか?
☆ 1999年3月、私は、徳山ダム水没地に少々の権利を有する者として、建設大臣を相手とする徳山ダム事業認定取消請求訴訟を起こしました。同時に、岐阜県民として岐阜県知事を相手とする徳山ダム公金支出差止訴訟を提起ましした。結局、岐阜県は、利水・治水あわせて1157億円を負担することとなりましたが、徳山ダムで開発された水は一滴も使うあてもありません。一般会計、つまり教育や福祉などにも使われるべきお金から、毎年35億円ほどを支出され続けています。この支出はあと15年ほどは続きます。ちなみに岐阜県の治水関係事業費、飛騨地方も東濃地方も全部あわせた全体で年間100億円を下回っているのです。このような極めておかしな税金の使い方に疑問を投げかける訴訟を行ったことは、市民としての責務であると考え、誇りにも思っています。ところが、岐阜県警にとっては、”お上”相手に訴訟を起こす者は「予防すべき犯罪に関わる者=犯罪者予備軍」なのでしょうか。
☆ 昨年7月24日の朝日新聞の報道を受けての私たち当事者から岐阜県警及び岐阜県公安委員会に宛てた「抗議・要求書」「苦情申出書」に対し、岐阜県警本部長(=2014.11.9付)及び公安委員会(=2014.12.5付)は、大垣警察署員がシーテック社員と会っていたことを認めた上で、「通常行っている警察業務の一環であると判断し」たと回答してきています。
訴訟提起という憲法上の権利行使を犯罪視する観点から収集した個人情報を私企業に提供することが「通常行っている警察業務の一環」というのでしょうか。そうであるならば、岐阜県警の警察業務は、通常からして警察法2条2項に真っ向から違背していることになります。重大問題です。
2.岐阜県個人情報保護条例12条の「例外」
岐阜県個人情報保護条例6条では、行政機関が個人情報を収集できるのは正当な(根拠ある)目的に限られ、7条では収集した情報を他に提供することを制限しています。
「議事録」にある通り、岐阜県警(大垣警察署)が、私の個人情報を収集・保管・利用したことは明らかです。何を根拠に収集・保管・利用したのか?知りたいと思いました。
個人情報保護条例12条によれば、「個人情報取扱事務登録簿」によって、「目的」「根拠」「範囲」「収集先」「当該実施機関以外のものへの経常的な提供の有無及び内容」「目的外の利用及び提供の有無及び内容」などが明らかになっているはずです。
しかし、今回の開示請求の担当課である岐阜県警「警備1課」の登録簿は存在しません。 12条3項2号の「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に関する個人情報取扱事務」にあたるからだというのです。
このフレーズによって岐阜県警を条例の縛りから解き放つ例外が、まるで例外が原則であるかのようにまかり通っていることには納得できません。
3.常に例外=「犯罪の予防、鎮圧又は捜査 ・・・その他の公共の安全と秩序の維持」
本人が開示請求する個人情報は開示されるのが原則です。行政機関が、本人には保有する情報を秘匿したまま、勝手に他の者(私企業!)に提供するなどあってはならないはずです。
ところが、今回、条例14条5号「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」との理由で開示されませんでした。
岐阜県個人情報保護条例では、上述の12条、14条の他にも、収集の制限を規定した6条の3項6号、4項2号、また、利用及び提供の制限を規定した7条2項などに同様なフレーズで例外規定が設けられています。この例外規定の存在も問題だと思いますが、それが仮に合憲合法だとしても、この例外の適用には厳しい制約があるはずです。
岐阜県公安委員会の「非開示理由書」でも、「犯罪の予防、鎮圧又は捜査 ・・・その他の公共の安全と秩序の維持」とする中味は一切説明されていません。「公共の安全と秩序の維持」とのワンフレーズで、県警は個人情報保護条例の適用を免れるというのでしょうか?条例で縛られているはずの行政機関が「自分達は適用されない」と言えば適用外になるのでしょうか?
4.岐阜県個人情報保護条例違反が秘匿されてしまう
今般、「議事録」などによっても、岐阜県警によって、岐阜県個人情報保護条例に違反する、もっといえば憲法違反にあたる思想・信条の調査、情報の収集・利用がなされた疑いが極めて大きいことが明らかになっています。
非開示決定・存否応答拒否が、諮問庁の主張通りに認められてしまえば、違法収集も違法利用も秘匿されてしまい、違法行為を止めることもできません。今回の当事者である私たち以外を対象に、反復的に同様な違法行為がなされている、今後もなされるであろうことを防止できません。この状態は正されなければならないと強く思います。
条例の目的である「個人の権利利益を保護するため」にこの審査会が果たす役割は大きい。是非、その役割を十分に果たして頂きたく存じます。
5.警察による憲法上の権利侵害が秘匿されてしまう
最後になります。
上述のように、実施機関・岐阜県警は、個人情報保護条例に違背しているだけでなく、憲法上の人権を侵害しています。今回の非開示決定・存否応答拒否という処分が、実施機関の違法行為の隠蔽を目的としてなされているとも考えられます。仮に条例の例外的な非開示規定に合理性があると仮定しても、、実施機関の違法行為の隠蔽を目的としてで「非開示」規定が使われることは絶対にあってはならないはずです。
条例28条の2「審査会の調査権限等」を十分に使って、真っ当な調査をされることをお願いいたします。
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続く。