そういえば…岐阜県長期水需給計画 |
北海道新聞 2015年8月12日付けの記事の情報が入った。
★北海道新聞 2015.8.12
札幌市の水需要予測3割減 35年度 当別ダム不要の声も
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0167443.html
札幌市が、当別ダム(石狩管内当別町)の建設に参加する根拠とした2035年度の市内の水需要予測について、1日当たり最大87万立方メートルから同62万立方メートルに約3割引き下げたことが11日、分かった。
市が現在保有する、豊平川などを水源とする供給能力(同84万立方メートル)だけでもまかなえる計算になり、自然保護団体は「不要なダム建設だった」と批判している。
市は今年3月にまとめた15年度から10年間の「水道ビジョン」で、7年ぶりに水需要を推計。前回と比べ、業務用需要が6割近く落ち込み、人口減少も早く進行する見通しを踏まえ、大幅に下方修正した。
市の前回予測をめぐっては市議会でも「過大な予測」などと指摘されていた。
市は「その都度、適切に予測してきた」と釈明。その上で「現在の水源は98%を豊平川に依存しており、災害などに備えた分散が必要」として、計画通り25年度に当別ダムから取水を始める方針だ。
これに対して、北海道自然保護協会は、今後予定されている当別ダムと札幌市を結ぷ送水管整備などの中止を求めている。
当別ダムは道が建設し12年10月に完成。水道事業ついては札幌、小樽、石狩、当別の4市町と道でつくる企業団が運営し、13年4月に札幌を除く3市町への供給を始めた。
治水・かんがいを除く事業費734億円のうち、札幌市の負担は131億円となる見込み。
「当別ダム完成後、修正姑息」 札幌市が水需要予測引き下げ 市民団体は反発強める
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/sapporo/1-0167566.html
2012年に完成した当別ダム(石狩管内当別町)をめぐり、札幌市が建設に参加する根拠とした水需要の予測を、現在の供給能力を大きく下回る水準まで下方修正したことに対し、以前から「過大な予測」と指摘してきた市民団体が反発を強めている。
市は水源の分散化を理由に計画通り25年度から取水する方針だが、取水量は総需要の1割に満たないため、「分散効果は薄い」との声も上がっている。
「ダムが完成してから需要予測を引き下げるのは姑息(こそく)だ」。北海道自然保護協会の在田一則会長は11日、市役所で会見し、市の対応を批判した。
市は07年度、35年度の1日当たりの最大水需要が、保有する水源の供給能力84万立方メートルを上回る87万立方メートルに達する、と試算した。
しかし、今年3月にまとめた15年度から10年間の「水道ビジョン」では、経済成長が期待通り進まなかったことや人口減少の進展を踏まえ、3割減の62万立方メートルに下方修正した。

その一方、現在の水源の98%を豊平川に依存していることから、市は災害や事故に備え分散が必要との考えも示し、当別ダムの必要性を強調している。
これに対し、同協会は会見で「当別ダムからの取水量は1日当たり最大4・4万立方メートルで、35年度の最大需要予測の7%にすぎず、大きな効果は期待できない」と指摘した。
札幌、小樽、石狩、当別の4市町と道でつくる当別ダムの水道事業企業団の総事業費は734億円で、うち札幌市の負担は131億円に上る見込み。札幌市への水道水供給に向けた浄水場と送水管の整備は20年度から始まり費用は26億円。
会見に同席した市民団体「当別ダム周辺の環境を考える市民連絡会」の安藤加代子代表幹事は「必要のないダムから取水するための財政出動はするべきではない」とし、浄水場整備などを中止するよう訴えた。(水野富仁)
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「以前の予測は当別ダムが要る、というための架空予測でした」と正直に言ってしまった、というべきか。ウソを吐き続けるよりは正直なほうが良い?…でも行政の常として、結局は誰も責任をとらない。さらに当別ダムの水の利用のための施設整備にお金を出す、という話みたいだから、「一体どうなっているの?」
木曽川水系では「德山ダムができちゃったから作る890億円の導水路」という計画が存在する(「凍結」と言いながら、毎年3億円弱の支出が続いている)。
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私が北海道新聞の記事をみたときに、導水路のことより先に頭に浮かんだのは、2004年の「岐長期水需給計画」。
2004年6月22日の記者発表の時のページがインターネット上に残っていた。
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岐阜県水資源長期需給計画
http://www.pref.gifu.lg.jp/kendo/mizushigen/mizu-kanri/mizu-plan/mizu-jyukyu.html
•表紙 ・ 目次
•水資源長期需給計画の策定趣旨 p1~p3
•岐阜県の水環境 p4~p5
•水需給計画の基本方針 p6
•水供給の検討 p7~p21
•水需要の検討 p22~p36
•水需給バランスの検討 p37~p47
•首都機能移転に対する検討 p48~p49

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木曽川フルプラン全部変更と同時並行で出されたので、「岐阜県長期水需給計画」に限った批判とか働きかけとかはしていない。
が、「德山ダムの水の供給を受けることになっている各市町の水道事業者の見通しもきちんと聴いて策定すべきだ」という私の意見に対しての当時の岐阜県の担当者の言=「市町には長期の水需給など見通す能力はないから県の判断で策定する」が、私には忘れられない。
皮肉を込めて、「だから、岐阜県は具体の水道事業者に德山ダムの水を押しつけることもなく、県の一般会計から新規利水の建設費を払い続けるという形で『責任』をとっている、というわけね」である。大垣市民としては、要らない水のための専用施設など作らされたらタマラナイ、ダム建設費まで負わされたらもっとタマラナイ。だからって、岐阜県の納税者が德山ダム建設費(新規利水分)を背負わされているのはどう考えても違法・不合理・不公平。
当たり前ではあるけど、作ってはいけないものは作ってはいけない。
この「岐阜県長期水需給計画」も今年が目途年で、県庁水資源課では改定のための作業が行われているはずだ。
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大垣地域は、しっかりと「德山ダムの水は使われるもの」という前提の計画となっている。渇水年でも安定供給が可能な(この理屈自体がヘン)水道用水=0.65(立方メートル/秒)、工業用水=0.76(立方メートル/秒)が、地下水を放棄して使われることになっている。
水需給バランスの検討 p40 より


もちろん、目途年となっている今年、事実は德山ダムの水は一滴も使われていないし(従前通り地下水が使われていて問題を生じていない)、有り難いことに専用施設計画の片鱗も存在していない。
岐阜県の新規利水(都市用水開発分)としては、德山ダムは半永久的に「開かずの扉」ならぬ「使われずのダム」となっていくに違いない。
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大垣市のメインストリートの面している自噴井。この豊かな地下水を放棄して高いお金を払って德山ダムの水を使いたい、などと誰が言ったのだろう?

改定作業中の新しい「岐阜県長期水需給計画」は、この辺りをどう表現するのだろう。
札幌市のように正直に言ってしまうのだろうか?
それともまたぞろ「10年後までには大垣地域は德山ダムの水を使う」ということにして要りもしない専用施設の検討をするというのだろうか?
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