導水路裁判控訴審判決と長良川河口堰(3) |
http://tokuyamad.exblog.jp/24499985/
http://tokuyamad.exblog.jp/24500031/
より続く。
報告集会にて
導水路はいらない!愛知の会ホームページ
http://www.dousuiro-aichi.org/
・判決全文 (pdf:1.6MB)
・原告団声明 (pdf:144KB)
・弁護団声明 (pdf:166KB)
原告団声明にもあるとおり、愛知県および名古屋市が、真に住民の側に立った自律的な判断をして、この徳山ダム導水路事業からの撤退の判断をしていくように働きかけたい。
「すでに決まっているのだから粛々と進める」という思考法はもうオワリにさせたい。
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ところで、この記事の表題は「導水路裁判控訴審判決と長良川河口堰」とした。
改めて木曽川水系連絡導水路は徳山ダム導水路であり、さらに「長良川河口堰のゲートを永遠に下ろしておこうとする導水路」でもあることを確認しなければならない。
対愛知県公金支出差し止め訴訟では、利水者・名古屋市の問題を遡上には乗せていない。だが、この事業の新規利水参画者としての名古屋市は、愛知県以上に酷い(「犯罪的」)と指摘しなければならない。
現在の計画案である「上流分割案」では、名古屋市の工業用水0.7トン/毎秒を導水するために長良川に徳山ダムの水を入れ、「下流施設」を作ることになっている。そして、その「下流施設」なるものは、長良川河口堰の湛水を前提にしたものであることが名古屋市議会経済水道委員会への説明でなされている(2007年.12月)
「徳山ダム導水路はいらない!」風媒社) p130より
参照 http://tokuyamad.exblog.jp/11488391/
長良川河口堰・徳山ダムというムリ・ムダが、徳山ダム導水路というムリ・ムダを生みだしている。悪しき連鎖は断ち切らねばならない。
自治体の自律的・自主的判断で「撤退」はできる-法制度はすでに作られている。
住民側も、 「国が(国交省が)押しつけてくる」「敵は永田町・霞が関」論ですましていることはでいない。
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•「撤退ルール」隠しはダメよ ~「導水路見直し」共同公約から2年~(1)[ 2013-01-03 18:14 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/18314314/
•ふりかえり「撤退」-(1)[ 2013-02-16 21:29 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/18624318/
•ふりかえり「撤退」-(2)[ 2013-02-17 22:52 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/18646965/
2009年夏、河村市長を脅して黙らせるために、当時の愛知県知事と名古屋市官僚と国交省中部地整の役人と水機構が使った手。やっぱり誤魔化していた「撤退ルール」。
しかし(自分達も含めて)「騙される側の責任」もまた問うていかねばならない。
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★ 第187国会 質問主意書 No.77(H26.11.13質問提出)
◇質問本文情報 (H26.11.13質問提出)
独立行政法人水資源機構法及び同法施行令のいわゆる「撤退ルール」に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a187077.htm
◇ 答弁本文情報 (H26.11.21 答弁受領)
衆議院議員近藤昭一君提出独立行政法人水資源機構法及び同法施行令のいわゆる「撤退ルール」に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b187077.htm
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長良川河口堰。「本格運用」から20年が経ち、社会情勢は誰の目から見ても変化した。当時の「政治的」確執やしがらみが薄れ始めてきた。
かつては「推進勢力」とされた団体の中からさえ、河口堰のゲートを下げておく必要はない、ゲートを上げるべきだ、という声が上がり始めた。
そして、若い世代は、かつての確執・しがらみについては、そもそも「知らない」-知識として知っていても、当時一線で声高に主張をしていた人々と同じ感覚で受け止めてはいない。
未来に向けてどうするか、をまともに議論するべきときがきている。
★朝日新聞 2015年9月22日05時00分
(記者有論)
長良川河口堰 運用20年、開門の時だ
(編集委員・伊藤智章)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11977218.html
圃場(ほじょう)や農道、公園、下水道の整備、さらに橋の架け替えまで……
長良川河口堰(かこうぜき)の周辺市町が1980年前後、事業受け入れの見返りに国や上流の岐阜県に約束させた「関連事業」のリストだ。この夏、運用開始20年になる河口堰の取材で久しぶりに現地を訪ね、改めて考え込んだ。
利水や治水に関係が薄そうな地域振興の事業が多い。三重県での事業も含めた総額は、河口堰に詳しい学者の推計で2千億円以上。本体の事業費1500億円を上回る。
木曽三川の洪水に悩まされ、川をせき止める河口堰に抵抗する地域住民をなだめるための事業だった。ある町長名の要望書は「措置されないときは、全体事業に同意できない」とすごみを利かせていた。
国は河口堰の目的に、愛知、三重両県の工業用水などの確保に加え、洪水対策も掲げる。上流で川底の盛り上がった所を、水がつかえてあふれないよう削るので、そこへ海水が溯(さかのぼ)ることによる塩害を防ぐ。それも河口堰の役割というわけだ。
地元自治体はその受益者であるのに、高額の受け入れ条件を出していたことになる。20年前も同じ問題意識で取材したが、ある首長は勝ち取った「成果」を誇り、「環境にこだわる反対派は地域の事情がわかっていない」とうそぶいた。
国は地元が反発する河口堰を押しつけようと関連事業をばらまいた。名古屋圏で発展に乗り遅れがちな地元自治体もそれを求めた。原発立地に似た構図だ。
ただ、今や関連事業の多くは完成済みで、役所の担当者も事業が行われた経緯を思い出せないほどだ。幸か不幸か、立地をめぐるしがらみが風化した分、河口堰の問題は議論しやすくなっている。
河口堰周辺にヘドロがたまり、シンボルのアユの漁獲量は減少。何とかしたいという思いは地元に強い。ゲートを上げ、生物が豊かな汽水域を回復させようとする運動が続く。
河口堰の影響を検証する開門調査は、愛知県の大村秀章知事が4年前の初当選時に公約した。県は専門家委員会で具体案を検討しているが、国土交通省は消極的だ。河口堰とアユ減少の因果関係も認めていない。「開門して渇水になると困る」「周辺地下水に塩分が入れば除くのは困難」と不安を並べる。
でも、河口堰で確保した毎秒22・5トンの水は16%しか使われていない。塩害が実際に出るのか、環境回復に効果があるのかを確かめるためにも、開門調査は欠かせない。
岐阜県は長良川の中上流域のアユ漁の世界農業遺産認定を目指し、昨年から活動を本格化させた。日本有数のシジミ産地だった下流域も、河口堰を開けて復活すれば世界に評価されるだろう。20年間の社会の変化を追い風に、動き出すべきだ。
(いとうともあき 編集委員)
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