★河北新報 2016年02月17日水曜日
<自衛隊監視訴訟>防衛省が上告断念
自衛隊の情報保全隊にイラク派遣反対活動を監視された東北地方の住民が国に損害賠償などを求めた訴訟で、公表していない本名や勤務先の情報収集をプライバシー侵害と認定し、男性1人に10万円を賠償するよう国に命じた仙台高裁判決に対し、防衛省は16日、上告を断念することを明らかにした。上告期限の17日午前0時で、自衛隊の監視行為の違法性を認めた判決が確定した。
防衛省は「主張の一部について裁判所の理解が得られなかったが、内容を慎重に検討した結果、上告しないことにした」とのコメントを出した。
男性は取材に「今後は自衛隊が市民を監視しないと約束したわけではなく、安心はできない」と述べた。住民側弁護団事務局長の小野寺義象弁護士は「国が違法行為を認めたことになり、非常に画期的だ」と語った。
住民側は、全員への賠償や監視の差し止め請求が認められなかったのを不服として75人が15日に上告したが、この男性は含まれていない。
12年の仙台地裁判決はこの男性を含む5人に賠償を命じていたが、高裁は地方議員だった4人の請求を退けた。
★河北新報 2016年02月17日水曜日
自衛隊の住民監視の違法性確定 国が上告断念、賠償へ
自衛隊の情報保全隊にイラク派遣反対活動を監視された東北地方の住民が国に損害賠償などを求めた訴訟で、公表していない本名や勤務先の情報収集はプライバシー侵害で違法だと認定し、男性1人に10万円を賠償するよう国に命じた仙台高裁判決に対し、防衛省は16日、上告を断念することを明らかにした。
この男性も上告していないため、上告期限の17日午前0時で、自衛隊の監視行為の違法性を認めた判決が確定した。
防衛省は「主張の一部について裁判所の理解が得られなかったが、内容を慎重に検討した結果、上告しないことにした」とのコメントを出した。
★河北新報 2016年02月16日火曜日
<自衛隊監視訴訟>住民側75人が上告
東北の住民や地方議員ら91人が自衛隊の情報保全隊による市民運動の監視差し止めなどを求めた訴訟の控訴審で、原告の住民側は15日、住民1人にのみプライバシー権の侵害を認めつつ、監視差し止めの訴えを退けた仙台高裁判決を不服とし、上告した。
住民側によると、上告したのは91人のうち、病床の住民らを除く75人。プライバシー権侵害が認められた男性については「監視行為を違法と認めた控訴審判決を確定させたい」(弁護団)として上告を見送った。
仙台市内で記者会見した原告と弁護団は「監視は憲法違反。自己の情報をコントロールする権利について、高裁は『法的保護に値しない』と否定したが、具体的な権利だと認定してほしい」と訴えた。
高裁判決によると、情報保全隊は2003年11月~04年2月、全国各地で自衛隊のイラク派遣に反対する市民運動に参加した住民の氏名や職業などを収集した。高裁は上告を見送った男性1人に限り、「本名や勤務先まで探る必要性は認められない」と国に10万円の損害賠償を命令。差し止めの訴えについては「対象が特定されておらず、不適法」と却下した。
★東京新聞2016年2月17日 朝刊
自衛隊が監視、違法性確定 国が上告断念 市民プライバシー侵害
自衛隊の情報保全隊にイラク派遣反対活動を監視された東北地方の住民が国に損害賠償などを求めた訴訟で、公表していない本名や勤務先の情報収集はプライバシー侵害で違法だと認定し、男性一人に十万円を賠償するよう国に命じた仙台高裁判決に対し、防衛省は十六日、上告を断念することを明らかにした。
この男性も上告していないため、上告期限の十七日午前零時で、自衛隊の監視行為の違法性を認めた判決が確定した。自衛隊は活動の在り方の見直しが迫られることになる。
防衛省は「主張の一部について裁判所の理解が得られなかったが、内容を慎重に検討した結果、上告しないことにした」とのコメントを出した。
男性は取材に「今後は自衛隊が市民を監視しないと約束したわけではなく、安心はできない」と話した。住民側弁護団事務局長の小野寺義象(よしかた)弁護士は「国が違法行為を認めたことになり、非常に画期的だ」と語った。
提訴のきっかけは、共産党が二〇〇七年に公表した情報保全隊の内部文書で、住民の活動の日時や場所が書かれていた。この男性については、反戦ライブをした場所に加え、本名、勤務先まで記されており、高裁判決は「自衛隊員らに有意な影響があるとは考えにくい。本名などを探索する必要性は認めがたい」と判断した。
住民側は、全員への賠償や監視差し止め請求が認められなかったのを不服として、七十五人が十五日に上告したが、この男性は含まれていない。
一二年の仙台地裁判決は男性を含む五人への賠償を命じたが、高裁は地方議員だった四人の請求を退けた。住民側は監視活動を違憲だと主張しているが、地裁、高裁ともに憲法判断は示していない。
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