恒例?「岐阜県治水事業費推移」グラフ(2) |
恒例?「岐阜県治水事業費推移」グラフ(1)
http://tokuyamad.exblog.jp/25285597/
より続く。
溜息とともに「繰り返しの嘆き節」。
毎年の河川事業費とは別に、岐阜県は「徳山ダム建設事業費」を一般会計から毎年約35億円)払っています。
【徳山ダム建設費償還グラフ】

このグラフは、交付税措置「後」の数値を、仲間にグラフ化して貰ったものです。
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota2/gifukenhutan.XLS
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基になっている上のエクセル表は、岐阜県が徳山ダム事業の係を河川課内に設けているときに受け取ったものです。その後、徳山ダム建設費償還分を扱う部署は都市建築部の中に新たに設置された水資源課になりました(やっと公営企業担当部署”らしい”格好になってきた)。
昨年、水資源課に、こちらから上記のエクセル表を送り直して、「交付税の制度とかがかわってきて、数字が変化したりしていませんか?」と聞き直しました。「変化していない」との返事を貰っています。
普通は国のダム事業の県の建設費の治水負担分は、建設中に3割を払って終わるはずですが、徳山ダムにおける岐阜県の場合は、2004年の事業費大幅増額のときに、負担金を払いきれなくて建設債をドバっと発行したので(※1)、その償還がいつまでもついて回っています。これが上記グラフの「治水分(茶色)」の分。
※1 2004年、徳山ダム建設事業費の大幅増額(2540億円→3500億円)が強行されました。
要らない水を買わされることになる利水者(愛知県や名古屋市)を事業につなぎ止めておくために、開発水の水量を減らしました。結果、当初は15立方メートル/秒だったのが、6.6立方メートル/秒と40%にまで減少。ただし負担の絶対額は微増。ゆえに単価はベラボーに上がっています。それでも「払う絶対額がそんなに増えないのなら、ま、いいか」というのが愛知県や名古屋市の判断だったらしい。つまりはどうせ要らない水、捨てゼニなんだから、単価なんかどうでも良いということか…この捨てゼニを水道料金で払わされている愛知県民や名古屋市民は、もっと怒っていいはずなのですけど。
そして岐阜県の一滴も使わない水の分が-H28年度分でいうと-上水=約8億円、工水=約18億円、一般会計から支払われています。
何度でも強調したい!利水分を一般会計から垂れ流すなんて完全に、地方財政法6条違反!
徳山ダムでの「開発水」が岐阜県で使われるはずがないことは、明らかでした。だから、私たちは、1999年、住民訴訟を提訴しました。しかし裁判所は「(開発水の分も)将来にわたっ使わないとは断言まではできない、先行的・長期的に開発するということが不合理とは言い切れない(から、企業会計から償還できるかもしれない)」と言って私たちを敗訴させたのでした。
そういえば、最高裁を筆頭に原発が重大事故を起こす可能性は無視できる(ほど小さい)といって、次々と原発の運転にお墨付きを与えた裁判所も・・・・
今後、徳山ダムからの給水(予定)地域の西濃地域の人口が急増し、工業用水を大量に要とする向上が次々と立地して、「先行的・長期的に(徳山ダムの水を)開発していて良かった、役に立った」「(今は存在しないに等しい)岐阜県の水道会計が、きちっと機能してそれまで払った分も耳を揃えて一般会計に返済できた」なんてことが起こるのでしょうか。
そんなことが起こる確率と、地震災害でダムそのものが危うくなってしまう確率と、一体どちらが高いのでしょうか。
いえ、もっといえば、福井の原発事故で、西濃地区に人が住めなくなる、という確率も無視できません。※2
※2 大垣は廃墟となる-もし敦賀原発が事故ったら-(1)~(3) 2013年4月
http://tokuyamad.exblog.jp/19197328/
http://tokuyamad.exblog.jp/19197467/
http://tokuyamad.exblog.jp/19203641/

梶原拓・前知事は、「徳山ダムの水は使われていないが?」というインタビューに対して「治水に役立っているから良いのだ、備えあれば憂い無し。徳山ダムのおかげで揖斐川流域住民は枕を高くして寝られる」と宣いました。
彼の認識では、徳山ダム建設費分は全部「治水事業費」にカウントされるべきだ、ということのようです。
でも~徳山ダムが完成しても、揖斐川流域での水害はなくなっていません。揖斐川流域の各地の堤防は、高さが足りないだけでなく、脆弱で危ういところだらけ。
仮の仮、「徳山ダムが揖斐川流域の治水に役立っている」としても、揖斐川流域を除く全県の治水事業で年間約100億円、揖斐川流域に(徳山ダム建設費償還分として)毎年35億円、というのはバランスが悪すぎませんか。
徳山ダム建設という政策選択は、どう考えても「失敗」だったのです。
岐阜県河川課の職員もそれはよくわかっているはずです・・・立場上「わかる、その通りだ」とは決して言いませんけど。
毎年恒例の「河川事業費推移」の表とグラフを貰う度に同じ嘆き節を繰り返すことになります。
繰り返しても言わねばならない…過ちは繰り返してはならないのです。
【参照】
「徳山ダムの今」その続き [ 2014-07-12 23:37 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/22504468/
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いつもより百合が咲くのが早いように思います。
