徳山水力発電所完工式と中部電力株主総会(2) |
徳山水力発電所完工式と中部電力株主総会(1)から続く
http://tokuyamad.exblog.jp/25408167/
中日新聞はこの「完工式」のウェブ記事はなかったが、9日朝刊に比較的大きな記事を載せた。


この中で「???」という記述がある。
「(2004年に)治水機能を強化する代わりに電源開発(Jパワー)は発電能力を40万キロワットから15万キロワットに縮小」
2004年の事業費大幅増額のときに、計画変更があったのは事実である。
しかし揚水発電計画(下ダム・杉原ダム)をやめたから40万KWを15万KWにしたのであって、「治水機能を強化する代わりに」ではない。
貯水池容量配分での「発電専用 11.4(百万立方メートル)」は、2004年以前も以後(=現状)も同じである。
確認のため、2004年の計画変更以前の貯水池容量配分図と現在のものを並べてみる。
・旧(事業費2540億円の頃の)容量配分図 水資源公団 1997.8 発行パンフより

・水資源機構徳山ダム管理所HPに現在掲載されている容量配分図

・「徳山ダムの今」-(2)[ 2014-06-22 16:15 ]
http://tokuyamad.exblog.jp/22431067/
もともと徳山ダムは3億立方メートルもの「死に水(=堆砂・底水容量)」をもつ巨大ダムである。半分ものムダを予定しているこんな不思議なダムは他には見当たらない。事業を見直し、容量配分を変えても、なお6億6000万立方メートルの巨大ダムであることを変えなかったのは、発電落差を稼ぐため、つまり発電への配慮である。
しかし建設費の負担配分(アロケ)では、このことは十分反映されてはいない。1957年に構想が浮上したときは電源開発のためのダムだった・・・なので、ずっと発電へのメチャな優遇が続いてきたらしい。
2004年の事業費増額の際は、洪水調節容量を増大させた分、洪水期制限水位は2.0m低くなった。これをもっての「(2004年に)治水機能を強化する代わりに電源開発(Jパワー)は発電能力を40万キロワットから15万キロワットに縮小」というのであろうか?
しかし、揚水発電を諦めた(これは芦浜原発計画が断念に追い込まれた中部電力の側の都合)からには40万キロワットなどという大きな出力の発電機を建設する理由がない。「治水機能の強化」と「最大出力の縮小」には因果関係はない。
これをあたかも「揖斐川流域住民のために、Jパワーと中部電力が大幅に譲歩して発電計画の縮小に至った」という物語にしてしまうとしたら、ダシに使われる揖斐川流域住民としては腹立たしく、許しがたい。
結局、「洪水調節分の増加→洪水期制限水位の低下」と「発電の最大出力の縮小」があたかも因果関係があるかのごとくみせかけて、発電専用の容量は元通りの量を確保しながら負担割合だけは下げる、という呆れるほど図々しいことをやってのけたとしか思えない。
徳山ダムの発電を巡る「不透明」は、さまざまな「物語」の中に塗り込められ、時間が経つにつれてどんどん事実が見えなくなっていくようだ。
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徳山水力発電所完工式と中部電力株主総会(3)に続く。
http://tokuyamad.exblog.jp/25413633/
