17/4/25 第12回愛知県長良川河口堰最適運用検討委員会 |
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http://www.pref.aichi.jp/soshiki/tochimizu/nagara-iinkai12.html
まだ会議録はアップされていませんが、若干のメンバー入れ替えとチームなど委員会内の編成のあり方が変わったようです。

この後、手前の空いている席に、長良川市民学習会の武藤仁・事務局長が委員として座りました。
時間が押した最後のほうで、小島座長が、重要な発言をしました。
なぜかこの日は傍聴者発言の機会もなかったので、後から「意見」を送りました。
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第12回愛知県長良川河口堰最適運用検討委員会を傍聴して-意見
近藤ゆり子
〒503-0875 岐阜県大垣市田町1-20-1
2017.4.25の長良川河口堰最適運用委員会の席上で、小島座長は、「環境というものの考え方」及び「アセット・マネジメントを考慮に入れること」について言及された。
大変示唆にとんだご発言と感じた。
このことを真剣に長良川河口堰最適運用委員会で議論するとなれば、「将来の長良川河口堰のあり方」の議論に留まることなく、現在は「凍結」されている(しかし事業実施計画はそのままで、法的には活きている)「木曽川水系連絡導水路(徳山ダム導水路)」事業を、愛知県としてはどう考え、どうしようとするのか、を議論しないわけにはいかないはずであると考える。
「木曽川水系連絡導水路(徳山ダム導水路)」事業(以下、「導水路事業」という)は、徳山ダムで「開発」した水を愛知県・名古屋市が使うための導水路を総事業費890億円をかけて建設するというものである。(愛知県負担分は、約318億円)
2010年、当時の政権の「できるだけダムに頼らない治水」の方針の下、全国84のダム及びダム関連事業が「再検証」の対象となった。中途半端な検証枠組み(検証主体、検証内容とも)ゆえに、大部分は適切かつ真剣な再検証が行われないまま「継続」という結論になってしまい、「できるだけダムに頼らない」云々はかけ声倒れとなってしまった。それどころか、現政権の下では「再検証」が推進のお墨付きに使われている有り様である。
再検証の対象となった国及び水資源機構の30事業のうち、検証結果(結論)が出されていないのは、この「木曽川水系連絡導水路」事業ただ一つであるが、残念ながら、現時点での「愛知県(知事・当局)」としての態度は、この導水路建設を推進したい、というものである。
① 「木曽川水系連絡導水路」事業が、長良川の環境に与える負の影響は甚大である。
まさに環境の撹乱者を愛知県自らが推進するのは、この委員会の設置と矛盾・背反する。
(内容的には向井貴彦委員が詳しいので詳細は省く)
② 「木曽川水系連絡導水路」下流施設の存在は、長良川河口堰のゲートを上げないことを前提にしたものであり、この計画を容認(愛知県としては推進)したまま、長良川河口堰の開門調査を実現しようとするのは全く論理整合性を欠く。愛知県がこうした矛盾・混乱した姿勢でいる限り、国(国交省)は、「愛知県の開門に向けた要請など適当にあしらえば良い」という対応しかしないのは当然といえば当然である(私が「国」の担当者なら、ある時点で導水路事業を持ち出して切り返しにかかる)
③ 愛知県にとって不要な事業である。
愛知県に新たな水源が必要なはずがないことは明らかでる。
(この点は、富樫幸一委員、伊藤達也委員が詳しい)
④ 愛知県は「必要だ」という説明責任を果たしていない。
2009年、住民訴訟提起前に、市民が土地水資源課と話し合った際、出てきた答えは「徳山ダムができちゃったから(水を使えるようにしないモッタイナイ)」というものであった。「これまでに多くのカネをかけたから、さらにカネをかけないとモッタイナイ」という考え方を抜本的に改めるべき時期に来ている。
なお住民訴訟(公金支出差し止め訴訟)は、住民側敗訴となったが、裁判所とて「導水路事業が必要だ」との判断を示したわけではない。「行政の判断が違法とまではいえない、行政の判断を尊重する」と言っているにすぎない。
決断すべきは「愛知県」である。
⑤ 2003年10月施行の(独)水資源機構法及び同法施行令によって、愛知県は、いつでも自らの意思で、導水路事業から撤退することができる。判断のボールは愛知県に投げ返されている。
上述したように、導水路事業は、現在、「凍結」状態(といっても建設事務所の維持などに毎年2億円がかかっている)であり、「再検証」のさいちゅうである。
再検証の場で、愛知県が明確に「導水路事業は不要だ」と表明すれば、市長の意向との関係で非常に半端な意見表明をしている名古屋市は、「不要だ」の方向に傾くことは必至である。
愛知県・名古屋市とも「不要だ」となれば、この導水路事業は成り立たない(少なくとも(独)水資源機構事業としては法的に成り立たない)。
そうなれば、「事業実施計画」は廃止され、愛知県としては既支出経費の精算だけで終わる。導水路事業はアセス法の適用外の事業ではあるが「法アセス並みの環境調査をやる」と国・水資源機構は繰り返し言ってきた。しかしそれもまだ(法アセスであれば)準備書段階にも至っていない。つまり本体工事とはまだまだ縁遠い段階であり、今、事業計画廃止となれば傷は最小限で済む。
なお、⑤で指摘しているが、「再検証」の場があろうがなかろうが、利水者は、自らの単独意思で事業から撤退できる((独)水資源機構法13条3項)。この点の解釈に関しては、第187国会における質問主意書・答弁書でも明らかである。(※)
愛知県は一刻も早く、「導水路事業からは撤退する」旨を表明するべきである。
それで初めて、アセット・マネジメントという考え方も含めた、総合的・抜本的な長良川河口堰のあり方の議論に踏み込める土台ができる。
貴委員会としても議論を深め、可及的速やかに知事の決断を求めるべきであると考える。
※ 第187回国会
★ 質問本文情報
平成二十六年十一月十三日提出 質問 第七七号
独立行政法人水資源機構法及び同法施行令のいわゆる「撤退ルール」に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a187077.htm
(提出者 近藤昭一)
☆ 答弁本文情報
平成二十六年十一月二十一日受領 答弁第七七号
衆議院議員近藤昭一君提出独立行政法人水資源機構法及び同法施行令のいわゆる「撤退ルール」に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b187077.htm
質問前半の「一」「二」において、質問者と内閣の認識に齟齬はない。
以上
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2017.4.14 大垣市 八幡神社前の水門川の橋の上から
