「平成30年7月豪雨」(5) |
https://tokuyamad.exblog.jp/29923312/
• 「平成30年7月豪雨」(2) [ 2018-07 -10 00:05 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29923961/
• 「平成30年7月豪雨」(3)[ 2018-07 -13 23:27 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29931711/
• 「平成30年7月豪雨」(4) [ 2018-07 -14 23:38 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29935329/
の続き。
◇ ◇
中日新聞 2018.7.10 夕刊
住民の言葉もオンエアされていたが、ダム放流によって川の水位が一気に上がることは、一般的には「知っていた」。だが「放流のサイレンは聞こえなかった」「こんなに急に、こんなに水位が上がるとは思っていなかった。」
西予市では5名もの方が犠牲になってしまった。
一連の豪雨災害に関する映像(動画)のまとめサイト
https://search.yahoo.co.jp/video/search?p=%E8%82%B1%E5%B7%9D%E6%B0%BE%E6%BF%AB&tid=73ce9a6950d7b6839b5d232f19934382&ei=UTF-8&rkf=2&dd=1
◇ ◇
四国地整は「規則通りに操作を行った」というのみである。
「下流に被害が発生することは予測できた。しかしダムを決壊させるわけにはいかない、やむを得なかった」。
「下流自治体などにも通報したが、受け手に行動を起こして貰えなかった。
多分、言っていることはその通りだと思う。
野村ダムの「異常洪水時防災操作」前後のグラフを再掲する。
7日の2時くらいまでは、流入量と放流量はほぼ同じで、漂流量緒は通常の300m3/s以下くらい推移している。
この操作でダム水位は上がっていない。
ところが、午前3時頃から急に流入量が増え、あっという間にダム水位が上昇した。
このときの野村ダム上流の状況はどんなふううだったのだろうか。
午前5時半には放流量を850m3/sに引き上げたというが、遅きに失している感を免れないと同時に、850m3/sや1000m3/s(計画最大放流量)を放流しても、「異常洪水時防災操作開始水位」を超える時刻をどれほど遅くできたかは疑問である。
午前7時頃には「規則通り」に「異常洪水時防災操作」に入った。
(「異常洪水時防災操作」、即ちダムによる洪水調節を放棄して 流入量=放流量 で放流し続けても、ダム貯水位は、洪水時最高水位=170.2mを超えたままであった。)
「ダムを助けるために、住民を犠牲にした。ダムが壊れても緊急放流するべきではなかった」という発言もあったが、私の感覚では簡単には頷けない。
「ダムが満杯になってもオーバーフローさせれば良いではないか」というのは、ダムという構造物への過信ではないだろうか。
ダム堤体と地盤との接合部は、直接激流に洗われても耐えられるほど強く作られているのだろうか。
オーバーフローで、堤体との接合部の地盤が大量の濁流で洗掘されれば、堤体そのものが崩落する可能性は否定できない。
そうなったときの下流の被害は、想像を絶するものであろうと思われる。
とはいえ、いかに「規則通りに操作した」と言われても、犠牲者が出るようでは「はい、そうですか」では済まない。
「異常洪水時防災操作」を考えざるを得なくなったの時刻は、真夜中から未明であろう。
自治体に連絡しても、「避難指示を出すには、避難所の開設が必要だが・・・」とか、対応がモタついたことであろう。
大雨の中、「サイレンで知らせる」とか「広報車で回る」とかしても、住民に聞こえただろうか?
聞こえても、外に出て避難することが難しい。
情報が乏しく、どの程度まで水位が上がるのか、氾濫するのか、堤防決壊が起こりそうなのかもわからない。
どこに逃げて良いのかもわからない。
ヤバそうだと気づいた住民も、「もう少し情報が欲しい、的確な情報を得て避難しようを」と考えたのではないだろうか。
しかし、情報が届く間もなく、「緊急放流」が始まってしまった。
ダムによ治水には限界がある・・・というより、一定規模を超える豪雨には「ダムは防災施設である以上に危険構造物なのである」。
◇ ◇
それにしても野村ダムのこの急激な流入量増大・水位上昇は異常だ。
野村ダム上流の雨量(時間降雨)
2018/07/07
1時 2時 3時 4時 5時 6時 7時 8時
東多田 10.0 17.0 36.0 27.0 26.0 16.0 15.0 6.0
皆田 12.0 16.0 26.0 22.0 30.0 53.0 91.0 37.0
皆田の午前7時の91mmは凄まじいが、野村ダムの急激な流入量増大・水位上昇はこれより前に起こっている。
上流の時間雨量20mm、30mmでは、あそこまで急激な流入量増大・水位上昇にはならないのではないか。
あくまでも推測だが、上流の各所で斜面崩壊と土石流が発生したのではないか、と考えている。
鹿野川ダムの急激な流入量増大・水位上昇は、野村ダムの「緊急放流」によるところが大きいだろうが、3700m3/sも放流することになってしまったのは、やはり上流の各所で斜面崩壊と土石流が発生したのではないかと推測する。
鹿野川ダム7月7日(再掲)
比較の意味も含めて:
木曽川水系馬瀬川にある岩屋ダム(水機構ダム)でも「異常洪水時防災操作」が行われた。
国交省中部地整木曽川上流河川事務所 2018年07月12日
平成30年7月豪雨による木曽川水系の出水状況(第2報)から抽出
http://www.cbr.mlit.go.jp/kisojyo/cms/topics/pdf/topics05_300712.pdf
◇ ◇
続く。
https://tokuyamad.exblog.jp/29923312/
• 「平成30年7月豪雨」(2) [ 2018-07 -10 00:05 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29923961/
• 「平成30年7月豪雨」(3)[ 2018-07 -13 23:27 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29931711/
• 「平成30年7月豪雨」(4) [ 2018-07 -14 23:38 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29935329/
• 「平成30年7月豪雨」(5)[ 2018-07 -15 23:16 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29935875/
• 「平成30年7月豪雨」(6) [ 2018-07 -16 23:11 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/29937174/