設楽ダム第2次住民訴訟第1回口頭弁論 |
11月20日、設楽ダム建設への公金支出差止を求める第2次住民訴訟の第1回口頭弁論があった。
設楽ダムの建設中止を求める会
http://www.nodam.org/
設楽ダム建設への公金支出差止る住民訴訟(第1次)は、2007年2月に住民監査請求。その請求棄却を経て、2007 年4 月に名古屋地方裁判所に提訴。2010 年6 月30 日に名古屋地裁判決-原告敗訴、 2013年.4月.24日に名古屋高裁判決-控訴人敗訴。2014年5月9日付けで、上告不受理・上告棄却決定が出さた。1審、2審とも、愛知県の水道用水の需要予測が過大であることを認めながらも、「豊川水系フルプランが著しく合理性を欠くとは断ずることは出来ない(=合理性があるとは言っていない)」という類いの行政裁量の幅を伸びきったゴムのように広げてしまう「お馴染みの司法判断(の放棄)」で、公金支出差止を却ける判断を確定させた。
この第1次住民訴訟は、「1 水道用水の需給」「2 洪水調節」「3 流水の正常な機能の維持」「4 農業用水」「5 環境(河川生態系や希少動物の保全)」「6 灌漑利用者負担金」「7 設楽ダム建設予定地の地質の脆弱性」と、「フルメニュー」で闘った。
今回の第2次訴訟は、2015年度を目標年としたフルプランの破綻が、水需給の現実の数字で明らかになった(「予測」の問題ではなく、実績において誤りが明らかになった)ことを受けてのものであり、もっぱら水需給に焦点を絞ったものとなっている。
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裁判としては「ついで」とも言えるかもしれないが、ダム使用権設定申請の「取下」(水機構ダムであれば「撤退」に当たる)をしないことの違法確認も請求している。被告は答弁書でこのこと(違法確認)については却下を求めているそうだ。ワタシ的には、八ッ場ダム訴訟のこ冬季用高裁判決が却けたというこの違法確認に、大変関心がある。司法判断は必ずしも楽観できないが、「取下」(「撤退」)を正面から問いたい、という思いは強い.
高度成長期は、「水が足りなくなる。一刻も早くダムを作ってくれ!」と地方は大合唱し、国は特定多目的ダム法だけでは対応できない(毎年度の予算の枠に縛られる)ので、「水資源開発促進法」を制定し、水資源開発公団を作って、借金でダムを作る方策を編みだした。当時においては「時代の要請」であったには違いない。
だが、1980年代になると、どうみても「水余り」の時代を迎える。これを「いつの日かは要るようになる」として、水需要予測を下方修正しながら「ダムは必要」と言い続けてきたことの破綻が、今や明白になってきた。
2003年の水需給想定を踏まえた2015年目途のフルプランでは、2015年実績において、需要は2003年より下回る(つまり水需需要は増えるどころか減っている)と0いう数字があちこちで出ている。
「水需要は(たとえ緩慢になっても)伸び続ける」という前提が崩れ去り、実は減っていくのだ、ということがデータ的に示されているのだ。
(厚労省が2013年3月に出した「新水道ビジョン」では、水道用水の需要減が断言されている)
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新たにダムで水資源を開発しても、そのダムは無駄ダムにしかならない(徳山ダムのように!)。ゆえに、新たなダム建設は税金の無駄遣いであり(水道料金値上げでは追いつかない)、自然環境の大破壊であり、次世代に負の遺産を残すシロモノでしかない。
- もうやめようよ、ダム建設。
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