「存否応答拒否」だって?…自分から存在を示した文書を? |
訴訟では、被告は一切中身に関する認否を行おうとしない。認否しないままで押し通そうとしている。
なので、警察庁幹部が2015年の通常国会・参議院内閣委員会で自らが存在に言及している(※)「岐阜県警から警察庁への報告文書」の情報公開請求を行おう、と思いついた。国会議事録から、文書特定に繋がる部分を抜粋して、「文書特定ができない」とは絶対言わせないように開示請求をした。
※ 国会議事録
・参議院第189回国会内閣委員会 第9号 平成27年5月26日(火曜日)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/189/0058/18905260058009a.html
・参議院第189回国会 内閣委員会 第12号 平成27年6月4日(木曜日)
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/189/0058/18906040058012a.html
(必要部分は、「審査請求・理由」に抜粋。下のほうにリンクが張ってある)
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素直に全部を開示するはずはないが、真っ黒塗りの海の中に小さな島のように点在する報告文書名とか項目名とか、何か手がかりになるものが、片鱗くらいは見えるかもしれない、と考えた。(ただ、真っ黒塗り開示の他に「保存期間徒過につき廃棄。不存在」という隠し方はありうるとは思った。)
しかし、返ってきた決定は「存否応答拒否」。

警察庁警備局長は「本件につきましては、岐阜県警察より報告を受けておりまして、その報告内容に基づき、事業者との面会の趣旨、日時を含む本事案の概要やその後の対応について大臣に説明を行っており」と言い、”面会”した大垣警察署警備課長の名前まで述べている。
国家公安委員長(国務大臣)は、「警察法と各都道府県の個人情報保護条例の規定にのっとり適正に取り扱っているものとの報告を受けている」と答弁している。
「警察法と各都道府県の個人情報保護条例の規定にのっとり適正に取り扱っている」と判断するだけの詳細な報告が岐阜県警から警察庁になされた、と、警察庁幹部が自ら国会で言ったのだ。
自ら「報告があった」と言っておきながら、「当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなる」から「存否応答拒否」。
それって一体何なんだ?
不開示決定通知書の『不開示の理由』は以下。
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警察が、いつ、どこで、誰に対して、どのような情報収集活動を行っているかという情報は、公にすることにより、警察が行う情報収集、分析能力等が明らかとなり、対象勢力が過去の実例等を研究、分析することにより、将来における犯罪行為等が容易となり、これに応じた対抗措置を講じるなど、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると認められるほか、今後の情報収集活動に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、法第5条4号及び同条6号の不開示情報に該当する。
したがって、本件開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することになるため、法第8条に基づき当該行政文書の存否を明らかにすることができない。
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「いつ、どこで、誰に対して」云々は、全く的外れである。2013年から2014年にかけて、大垣警察署警備課職員が、(株)シーテック社社員と面会し「意見交換」を行ったという事実は、岐阜県警も岐阜県公安委員会も、「報告を受けた」警察庁も認めているし、(株)シーテック社の「議事録」という証拠もある。
それでも「どのような情報収集活動を行っているか」を明かしたくないのは、向こう側としてはそうなんだろうな、とは思う。
なので、全く気に入らないが、警察庁が「第5条4号及び同条6号の不開示情報に該当する」と言ってくるのは、一応「理解」はできる。
しかし「法第5条4号及び同条6号の不開示情報に該当する」に続いて、後段の「したがって~存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することになる~法第8条に基づき当該行政文書の存否を明らかにすることができない」となるのは、全く非論理的であり、かつ馬鹿馬鹿しい。
<参考>行政機関の保有する情報の公開に関する法律
第8条 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。
こちらが問うてもいないのに「詳細な報告を受けた」と言ったのは警察庁のほうなのだ。
若干汚い言葉で言えば、「おんどりゃ、おちょくっとんのか!」である。
国会を、そして国会での対応を通して、国民を舐めきっていることがよくわかる。
あえて情報公開法第8条の適用に絞って、審査請求をした。
・ 2019.1.5付 警察庁長官宛 審査請求・理由
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota13/20190105shisaseikyuuriyu.pdf
情報公開・個人情報保護審査会が、真っ当に機能していない(諮問庁の言いなり)ことは、十分知っている(過去に何回審査請求を行ったことか)。
そして審査請求の結果が出るのは、1年以上かかることも知っている。
しかし、それでもこの馬鹿馬鹿しい秘密主義(※)は、警察庁以外の誰かに知らせるべきだと思う。
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余談ながら:
警察庁への開示請求と同時に、岐阜県警へも開示請求を行った。
当然、警察庁と打ち合わせたの決まっているから、岐阜県警も「存否応答拒否」。
なので、こちらのほうも審査請求をかけた。
審査請求書の郵送宛先や、項目を確認するために、1月4日、岐阜県警の県民広報課に電話をした。
県民広報課では、審査請求についてわかる担当者が休んでいるとかで、電話に出た職員が総務課に電話で問い合わせをした・・・保留ボタンを押さずに。
なのでまる聞こえ。
「・・・近藤ゆり子が審査請求について聞きたいと言っているのですけど」
またかよ-。
もう10年以上前だが、大垣警察署警備課に電話せざるを得ない羽目になったときにも、電話に出た警備課員が、保留ボタンを押さずに「係長!近藤ゆり子から電話です!」と叫んでいたっけ。
秘密主義のくせに保留ボタンも押さずに、電話の傍で叫んだり、他に電話するってヘンなの。
そして当たり前のように呼び捨てにする。
自治体にしろ他の省庁にしろ、外部の市民を呼び捨てにはしない。
呼び捨てを当たり前にする警察の体質は、オイコラ警察の消えない名残であり、威圧的な取り調べによる自白強要に繋がっているのでは、と思った。
(電話に出た「総務課」の人間にも、そう説教しておいた)
ちなみに「『近藤ゆり子』というのが」ではなく、「近藤ゆり子が」である。
はぁぁ・・・。
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