三日月・滋賀県知事 大戸川ダムを容認へ |
これが報じられてから、すでに半月以上経ってしまった。
「今さら」の感もあるが、記録として。
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この件を最初に報じた記事は毎日新聞だと思う。
計画凍結中の大戸川ダムを容認へ 滋賀県知事が方針転換
https://mainichi.jp/articles/20190415/k00/00m/040/229000c
続報が次々に出た。
工事凍結の大戸川ダム建設求める意向 滋賀県知事「治水に必要」
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190416000048
滋賀県知事、ダム建設容認に方針転換 「大戸川は必要」
https://digital.asahi.com/articles/ASM4J3HRXM4JPTJB007.htm
滋賀県、大戸川ダム容認 知事が方針転換「住民の安全に必要」
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/190416/plt19041612210020-n1.html
★中日新聞 2019年4月16日 13時18分
大戸川ダム賛同表明 滋賀知事、方針転換「早期整備を」
https://www.chunichi.co.jp/s/article/2019041690120404.html
★日本経済新聞2019/4/16 20:23
大戸川ダム 復活の足音 滋賀知事が建設容認
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43815440W9A410C1LKA000/
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この「方針転換」には、当然のごとく、疑問の声が上がった。
★毎日新聞2019年4月16日 21時31分
「脱ダム」嘉田前知事、建設容認に疑問表明 滋賀・大戸川ダム
https://mainichi.jp/articles/20190416/k00/00m/040/269000c
国は嘉田氏ら4府県知事の共同見解を受け、09年に大戸川ダムの事業凍結を決定した。その後、国土交通省近畿地方整備局は16年2月、治水対策としてダム建設が有利とする評価案を公表。滋賀県が独自に設けた勉強会も今年3月、ダムの治水効果を認める報告をまとめた。
一方、大阪府の吉村洋文知事は報道陣に「大阪府は河川の治水を強化して府民の命を守るという方向で進めてきた。巨大な公共事業であるダムがどれだけ効果があるのか検証しなければならない」と述べ、独自の検証委員会を発足させる考えを明らかにした。
★京都新聞(2019年04月18日 12時12分)
社説:大戸川ダム推進 知事の方針転換は疑問
https://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20190418000044
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2014年、嘉田さんは三日月氏に「禅譲」する形で滋賀県知事を降りた。
弊ブログ
• 嘉田知事三選不出馬と流域治水 -1 [ 2014-05-08 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/22198719/
• 嘉田知事三選不出馬と流域治水 -2 [ 2014-05-13 ]
https://tokuyamad.exblog.jp/22198787/
淀川水系流域委員会ウォッチャー辺りから、当時聞こえてきたウワサ(多分、情報元は滋賀県の「嘉田与党」議員周辺)によると:
「嘉田さんは3選に意欲があったのに足を引っ張られ、外堀を埋められた。(ダムに頼らない)流域治水条例を面白くないと思った連中が(国政の)与野党を超えて連携して追い詰めた」。
三日月氏は、2014年に滋賀県知事になった時から、ダム凍結を解除する方向を考えていたと私は見ている。2018年に国政与党の支援も受けた「相乗り」知事となって、堂々とダム凍結解除-復活への舵を切ることになったのだろう。
逆に言えば、約5年間、三日月知事が「ダム凍結解除-復活」を言い出せなかったともいえる。
それは、流域治水条例へと緻密に治水政策を積み上げてきた滋賀県職員が、簡単には新知事に「ダム凍結解除-復活」を言い出させない抵抗が強かったのだろう、と私は見ている。
流域治水条例制定には、政治的」には知事としての嘉田さんの頑張りは大きかったが、嘉田さん一人が旗を振って出来たものではない。緻密に治水政策を積み上げた滋賀県の職員が大きな推進力だった。
琵琶湖博物館を作った頃の”嘉田さんの同僚の滋賀県職員達”が、ちょうどこの頃に”幹部”になり、「この地域の治水はダム頼みではダメ」と志を同じくして、いろいろな摩擦を乗り越えて流域治水条例制定にこぎつたのだ。
流域治水条例を作ってきた滋賀県職員は「国交省の職員は地域を知らない。この地域の『水』にずっと向き合ってきた我々に太刀打ちできるはずがない」と自信にあふれていた。
だが、淀川水系流域委員会でもみられたように、「政治」の巻き返しは、国家公務員も含めた個々の職員の思いや考え、さらには信念をも凌駕してしまう。
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「コンクリートから人へ」のスローガンを掲げて政権をとった民主党は、政治的な経験の浅さ、稚拙さを露呈して、スローガン倒れになってしまった。
しかしスローガン倒れだったにせよ、一定の方向性を示すことで、少しは「前に進んだ」流れができはじめた、という面もあった。
岐阜県が「伝統的防災施設マップ」というものを作ったのも民主党政権下での一定の報告性があったからだ。
https://tokuyamad.exblog.jp/20265200/
• 続・岐阜県も踏み出せるか?-「洪水をある程度許容する」治水-[ 2013-08-25]
https://tokuyamad.exblog.jp/20271127/
しかし、この「伝統的防災施設マップ」が市町の役所を通じて、一般市民の目にも触れることができるようになった頃には、復活した安倍政権下での反動が始まっていた。
この「マップ」は、一部の地域では活用されることもあったものの、「輪中の街」大垣あたりではほとんど活用されることもなく今は忘れられているようだ。
大戸川ダムを巡る三日月・滋賀県知事の「方針転換」は、単に一つのダムを巡る一つの県の一人の「政治家」の問題ではない、あらゆる領域に押し寄せている反動(バックラッシュ)の波の表れであるに違いない、と筆者は感じている。
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http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota13/2010_2019graf.pdf
■1998年~2019年(H10~H31)岐阜県治水事業費エクセル表
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota13/1998-2019gifuchisuijigyohi.xlsx
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4月初めに一輪咲いて、「いやに早いな」と思っていたら、1か月近く経って3輪がいっぺんに咲いた。
どうなっているのだろう?