鬼怒川大水害訴訟 水戸地裁判決(2) |





カレンダー
カテゴリ
全体 導水路問題 現在の徳山ダム問題 過去の徳山ダム問題 長良川の話題 2020年球磨川水害と川辺川ダム 水害と流域治水 石木ダム絶対反対 河川行政と流域住民 淀川水系関係 土石流災害 大垣警察署市民監視事件 脱原発 川と人とまち 沖縄・韓国 未分類 以前の記事
2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 最新のコメント
最新のトラックバック
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2022年 07月 27日
鬼怒川大水害訴訟 水戸地裁判決(1) の続き。 <参照> (2016年)11月 利根川下流域 見学行(1) ◇ ◇ ★信濃毎日新聞2022/07/26 09:30 〈社説〉鬼怒川水害判決 河川管理の盲点洗い出せ ★NHK2022年7月26日 12時37分 鬼怒川水害訴訟で賠償命令「主張認められず大変残念」国交相 ![]() ![]() ![]() ★朝日新聞2022年7月27日 5時00分 (社説)常総水害判決 河川管理に重い警鐘 ![]() (写真)関東・東北豪雨で鬼怒川から市街に濁流が流れ込んだ=2015年9月10日、茨城県常総市、朝日新聞社ヘリから ◇ ◇ 一部ではあるが原告勝訴である。 水害訴訟で河川管理者の「河川管理の瑕疵」が指摘され、国家賠償請求が認められることは非常に珍しい、画期的である。 とはいえ、あの悪名高き「大東水害訴訟最高裁判決」の判断枠組み※を否定していない。最高裁判決の枠組みを否定すると確実に上級審でひっくり返されるだろうから、ここは「賢く」判断したというべきなのかもしれない。 ※「財政的制約、時間的制約、技術的制約」を挙げ、それら制約の下で「過去に発生した水害の規模、発生の頻度、発生原因、被害の性質、降雨状況、流域の地形その他の自然的条件、土地の利用状況損所他の社会的条件、改修を要する緊急性の有無及びその程度等の諸般の条件を総合的に考慮し、上記制約の下で、同種同規模の河川の管理の一般水準及び社会通念に照らして是認し得る安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断するべきである」。即ち「河川管理の特殊性/過渡的安全性で足りる」。「過渡的安全性で足りる」といえばたいていの場合、河川管理者は免罪されてしまう。 * * * * * ■2022.7.22水戸地裁判決 私が「解説」する立場にはないが、判決を読んでいくらか感想をば。 判決は「争点」として以下の4つを挙げている。 (1) 若宮戸地区の本件砂丘を含む区域を河川区域に指定しなかったことが河川管理の瑕疵に当たるか否か。 (2) 本件改修計画が若宮戸地区の堤防整備を放置して優先度の高く ない地点の堤防整備を優先するものであり、 それが格別不合理であるといえるか否か。 (3) 上三坂地区の堤防整備を他の地区よりも後回しにしたものとして、本件改修計画が格別不合理であるといえるか否か。 (4) 被告が賠償するべき損害の範囲。 争点(1)「(若宮戸地区の本件砂丘を含む区域を河川区域に指定しなかったことが河川管理の瑕疵に当たるか否か。」 &(争点(2)「本件改修計画が若宮戸地区の堤防整備を放置して優先度の高く ない地点の堤防整備を優先するものであり、それが格別不合理であるといえるか否か」) ここでは、「改修計画」云々を離れて「段階的な安全性が損なわれないように適切に河川管理をするべき義務がある」「改修計画を策定した時点で想定された安全性が損なわれないように管理する.べきことを含むものと解される」「既存の河川管理施設等の治水安全度が損なわれないようにすることは、河川管理者がその権限を適切に行使することにより達成できるものであり、上記諸制約の下で施行される治水事業そのものではないから、この点において河川の管理に瑕疵があるといえるかどうかは、改修計画が格別不合理であるか否かといった基準とは別に、河川管理者に権限が付与されている趣旨・目的に照らし、河川管理者による権限の不行使が不適切であり、それにより河川の備えるべき安全性を欠くに至つたか否かという観点から判断されるべきである」という規範を立てることで、「被告は、本件砂丘を含む区域を河川区域として指定するべきであったにもかかわらず、これを怠っていたものであり、そのために本件砂丘が掘削され、計画高水位を大きく下回る地盤高となり治水事業の過程における改修、整備の段階に対応した河川が備えるべき安全性を欠いて他人に危害を及ぼす危険性のある状態となったから、若宮戸地区に係る河川の管理については、本件改修計画の格別不合理性(争点(2)) について検討するまでもなく、この点において、河川管理の瑕疵があったものと認められる」と、この部分につき、原告勝訴とした。 争点(3)「上三坂地区の堤防整備を他の地区よりも後回しにしたものとして、本件改修計画が格別不合理である といえるか否か。」 ここは、「大東水害訴訟最高裁判決」の判断枠組みを踏襲したために、「河川の改修については様々な諸制約が存在することに照らせば、改修中の河川である鬼怒川について、当時の改修段階において求められていた安全性を欠いていたとは認められない」「本件改修計画が格別不合理であったとまではいうことはできず、本件決壊の発生につき、河川管理の瑕疵があったものとは認められない」として原告敗訴となってしまっている。 堤防決壊こそ「命の危険」に直結する。判決文中には「検討堤防整備においては、堤防の高さが重要であるのと同時に、越水以外による.堤防決壊を防止する観点からの検討も必要である」と述べて、堤防決壊防止にも言及しているが、「越水による堤防決壊に対する対策としで.堤防の高さを基に安全性を検討したものということができ、治水安全度の評価方法として相応の合理性を有するものというべきである」として河川管理者を救済している。 しかし、「格別不合理なものであるとまではいえない」という文言で、上三坂地区住民が被った「命の危険」が免罪されてしまうのはどう考えてもおかしい。「河川の改修については様々な諸制約が存在する」ことは事実であるが、「計算上の流量を河道内で流す」ことに終始する(結果として「想定外」の場合は破堤もやむをえないとする)現行の河川改修計画こそ、全体として「格別不合理」なのではないだろうか。 「想定外」の出水が頻繁に発生するようになって、国も「流域治水」と言い出した。洪水のすべてを河道内に押し込んで流すことは無理であることを認めた・・・しかし、どうも、「無理だからしょうがない」という責任逃れに使われているように思えてならない。 「命の危険」に直結する破堤は、何としても回避すべきであり、旧来の河川改修の計画の考え方が根本的に「不合理」になってきていることを、広く社会的に認識していく努力が必要とされてきていると感じる。 (争点(4)に関しては省略・・・原告さんの被害の具体がわからないので、「感想」も述べようがない。あえて述べるなら「(賠償が認められた原告に対しても、その金額額が低すぎる」) ◇ ◇ ![]()
by tokuyamadam
| 2022-07-27 21:21
| 河川行政と流域住民
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||