徳山ダム導水路事業-「継続」と決まる(1) |
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2024年 09月 01日
8月27日付けで、国土交通省のHPに以下が載った。 国土交通省ホーム > 報道・広報 > 報道発表資料 > 木曽川水系連絡導水路事業に関する国土交通省の対応方針について 「ダム事業の検証に関して、木曽川水系連絡導水路事業について国土交通省の対応方針を決定いたしましたのでお知らせします。木曽川水系連絡導水路事業 ・・・ 継続」 ○ ダム事業の検証については、平成22年9月に「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」により「中間とりまとめ」が示され、個別ダムについて検証が行われてきたところです。 ○ この度、木曽川水系連絡導水路事業について、令和6年8月8日に開催された「社会資本整備審議会河川分科会事業評価小委員会(第18 回)」の審議を踏まえ、別紙のとおり国土交通省の対応方針を決定いたしました。 ◇ ◇ はて? そもそも木曽川水系連絡導水路事業は「ダム事業」なのだろうか? 「中間とりまとめ」が出された時点で、木曽川水系連絡導水路事業(徳山ダム導水路事業)は「凍結」となっていた。2009年5月、就任したばかりの河村たかし・名古屋市長は、「撤退!」を口にして名古屋市民の支持を集めたが、政治的・行政的にも先に進める知恵も腹もないまま、この年の秋に「政権交代」で国土交通大臣になった前原誠司氏に下駄を預けた。預けられた前原氏も「勢い」ばかりの「口先番長」。「八ッ場ダムは中止にする!」と大見得を切ってみせたところで、道筋の付け方もわからない。結局、河川官僚に頼りきるしか能がなかった、というのが実情だった。 ・「ダム事業の検証に係る検討について」だって! - ダム等審議委員会のデジャヴ-(2010.09.29) ・往時のダム審よりダメな今般の「一斉再検証」(2011. 05. 20) 木曽川水系連絡導水路事業(徳山ダム導水路)を、この「検証」に当てはめてなされた会議資料などは以下に。 ↓ 水資源機構中部支社: 検証対象ダム事業の関係地方公共団体からなる検討の場 ◇ ◇ 「再検証」なる元が始まってから14年も経った。 このとき対象となった83事業の大部分は「継続」結論を出した-想定通りに-。 そして残ってしまった徳山ダム導水路事業は、延々と「凍結」状態のまま、調査費だけは予算が付き続けて・・・そして今年3月、突然「事業費2.55倍」と言い出した。 なぜか負担者は騒がない、一般的に「コスト縮減を」というのみ。 十数年前、確かに「これ、お金を出して買います」と言ったかもしれない。しかし作り手(売り手)の側で十数年待たされた後(この間、物価はそれほど上がっていない。実質賃金はむしろ下がった)、いきなり「値段は2.55倍です」と言われたら、一般の消費者だったら「もう買わない!」と怒るだろう。この場合、買い手は費用の最小化が求められている地方公共団体や公営企業なのだから、「ちょっと待った!ちゃんと説明しろ」と大騒ぎになって当たり前のはずだ。 しかし負担者からの大きな反発の声が聞こえて来ない。 ◇ ◇ 4月に名古屋市議会の経済水道委員会で、導水路事業費のことが出された。 以下は、傍聴したTさんからのレポートの一部。 - - - - - - - - - - - - - - 説明資料は15ページ。(説明要旨はTがまとめたものです) 1 木曽川水系連絡導水路事業の概要及び経緯について (説明要旨)平成22年の名古屋市長の意見により利水参画継続の回答留保により留まっていたが令和5年の新用途提案で利水参画の意思「有」と回答。 2 水道における水源確保の考え方について (説明要旨)渇水や噴火、老朽化など多様なリスクに備え、渇水時にも安定したサービスを継続するため、水源の多様化が必要。これまで確保した水源の内、活用できているのは木曽川だけ。 3 工業用水道における水源確保の考え方について (説明要旨)現在110事業所と契約。令和4年の1日平均給水量は6.3万m3。水源は庄内川の表流水、千年水処理センターの下水処理水、大治浄水場の作業排水。水源の水量、水質の安定確保のため徳山ダムの水を活用したい。 4 新用途について (説明要旨)市の3つの新用途に対し、中部地方整備局より検討・協力の意向が示された。中部地整の対応は、「堀川再生については、名古屋市での必要水量や効果などを調査・検討を伺い、実現に向けても協力していきたい。なお、本事業は長良川と木曽川の環境改善を目的としたものであり、現行の目的に沿って流水の正常な機能の維持の観点から検討を行い、堀川再生に資する方策の可能性について、関係者との調整・検討をしていきたい。」 5 事業費及び工期について (説明要旨)事業費は平成20年には890億円だったが今回の提示額は2,270億円、約2,5倍。工期は12年。 名古屋市の負担は、水道が約207億円、工業水道は約102億円、工業用水道の取水施設に別途 約12億円。 6 事業経営に与える影響について (説明要旨)水道事業での負担金は 、令和10年度から18年度までは年間約15 億円。新用途の施設建設費は令和18年から20年度までは約16,7億円。令和18年度の導水路を含めた水源施設建設費の費用負担は31,7 億円になる。資金面への影響は一定程度あるが、経営改善に取り組み対応していきたい。 工業用水事業での負担金は、建設事業費約80億円。支払は令和10年度から18年度までは年間約8,7 億円。 水源施設建設の負担金は令和18年度は最大10,1億円になる見込み。資金面への影響は大きく、極めて厳しい状況。負担額を平準化する方法を検討し対応したい。 なお、令和4年の工業用水事業の純利益は4,700万円。 7 今後の予定について (説明要旨)今後は検討主体(中部地整、水資源公団)、本省の国土交通省の対応決定に委ねられる。最終段階になっている。 議員からは以下のような質問もありました。詳しくはインターネット中継で確認してください。 *平成22年の河村市長の発言は(名古屋市というより)個人的なものではなかったのか。 *負担が重すぎるのでは。工業用水道会計が一般会計からになるのでは。 *環境への影響、生態系への配慮が必要では。 私(T)の感想 導水路事業の目的は、水需要は関係なく、リスク管理、水源多様化が強調されています。 当初の計画からこれほどにも経費が違っても、さらに増加する可能性もあるのに、名古屋市は受け入れる必要があるのか、経済水道委員会ではもっと議論がされるのかと思いましたが、今回は説明を聞く場という感じでした。今後、さらに委員会が行われるのか、それともこれで終わりなのか分かりません。 環境について問われた際、国の設置した検討会などできちんと対応されているのでは、との答えでした。 流域市民としては、その点などについても中部地整などの事業主体にきちんと確認していく必要があると 思います。 福祉や教育などの費用は無駄な経費を見直し捻出とのこと。どこから捻出するのでしょう。 - - - - - - - - - - - - - - 「6」の項をみると、名古屋市長による「新用途提案」は、水道会計で持つべき導水路建設費負担の一部を一般会計(河川事業)に付け替えるためだということがよくわかる。付け替えられたほうは、国交省から補助金をとるから良いのだ、という考え方なのだろうか? こういうことが何となく罷り通ってしまうのであれば財政規律はどうする? 「国」のほうがとっくの昔に財政規律など、打ち捨てているのだから構わないということか? 8月19日、「名古屋市上下水道事業審議会」なるものが開かれ、上下水道料金の値上げを答申した。 ★中日新聞 2024年8月19日 20時37分 名古屋市の上下水道料金、2025年10月に11.8%値上げを 審議会が市に答申 この記事には、徳山ダム導水路建設費の負担にちては全く触れられていない。「名古屋市上下水道事業審議会」でも触れなかったのかもしれない。 市民に対して真っ当な説明をせず、値上げを既定路線として押しつける。こういうことが当たり前化している。 ◇ ◇ 徳山ダム導水路事業-「継続」と決まる(2) に続く。 ・徳山ダム導水路事業-「継続」と決まる(1) ・徳山ダム導水路事業-「継続」と決まる(2)
by tokuyamadam
| 2024-09-01 23:15
| 導水路問題
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