10月17日、岐阜新聞の1面に「木曽川導水路 再始動」という見出しの記事が載った。
★2025.10.17 岐阜新聞(1面) PDFファイル↓
2009年(H21年)から16年間「寝ていた」に環境検討会が、9月26日に開かれた。
■木曽川水系連絡導水路関係資料(水資源機構)
・第9回木曽川水系連絡導水路環境検討会(令和7年9月26日)
1ヵ月経って、まだ議事録もアップされていない。「やる気の無さ」が伝わる。
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★2025.10改訂のリーフレット PDFファイル↓
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2009年に導水路事業はいったん「凍結」された。「凍結」ではあっても「中止」ではなく、細々延々と「再検証」の棚に載っていた(その間、年間2億円くらいの予算がついていた)。
2023年、河村・名古屋市長が、2009年の「撤退したい」表明を覆して推進に転じた。国政復帰のためのどこぞへの手土産にしたかったのだろうか(いまだに動機は不明)?
そして眠っていた「再検証」が動き出し、事業費が2.55 倍に膨れあがって GOサインとなった。
だが、利水者も本当に「必要」だとは考えていない。すでに大幅な「水余り」であり、上昇するという前提だった水道水の需要は減っている。2015年を目途として2004年に全部変更を閣議決定したフルプラン(木曽川水系水資源開発計画)は、目途を10年すぎても変更(改訂)できない。「水資源開発」という概念そのものが、社会の実態に全く合わなくなっている。
2007年に木曽川水系連絡導水路(徳山ダム導水路)事業計画が公表されたときには、すでに「名古屋市と愛知県に徳山ダムの水を導水する」必要性が失われていた。2006年秋から湛水を開始した徳山ダムの「正当性」を言い募るために導水路計画は作られたのだ。
名古屋市も愛知県も本当徳山ダムも導水路も要らない。2004年、徳山ダム建設費大幅増額の際きに、徳山ダム事業につなぎ止めるために「導水路では格別に国が配慮する」と国は証文を出した(この辺りは拙著「徳山ダム導水路は要らない」-風媒社刊-に。情報公開請求でウラを取っている)。名古屋市・愛知県の負担をできるだけ小さくするために、「治水/環境」という名目で事業費の65.5%を配分することになった。「木曽川のヤマトシジミの生息のため」「長良川のアユの産卵のため」。誰も信じていない「御利益」に多額の税金が投入されることになる。
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メディアが事業者側に取材しても、およそ「やる気」も「熱意」も感じられないそうだ。
何度も繰り返す話だが、2006年秋の湛水開始直前、中部地整のY氏に「『徳山ダムは必要なのだ、作らねばならないのだ』とあなた達が熱く語るのを、一度で良いから聞きたかった」と言ったら、Y氏「だって…ここまできちゃったのだからしょうがないでしょう」と宣った。
「やめるという決断を下せないからやり続ける」
敗戦直前に召集され戦地に行かされた村瀬惣一さんは、よくおっしゃっていた。「建設官僚は、あの戦争のときの軍部と同じだ。もうダメだ(負ける)とわかっているのに、やめるという判断をしない。その所為で大きな犠牲を出した」
この繰り返しは、本当にやめてほしい。
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月刊「つり人」 2025年12月にも、導水路問題が載りました。
★月間「つり人」No954 2025年12月
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