不透明すぎる!木曽川水系連絡導水路-上流分割案-の「合意」 |
◆08.11.25記 国との関係での経緯説明
→08.12.06修正しました。「不透明!続き」に載せました。
◆第5回幹事会(07.3.16)及び連絡調整会議(07.3.26)の資料の抜粋
(【 】内は、某教授のコメント)
◆ 徳山ダムに係る導水路検討会 幹事会資料 (第3回~第11回、連絡調整会議を含む)
◆ 08.08.10 異議申立(別紙「理由」)
◆ 08.09.22 審査会より異議申立人に対する文書(実施機関からの公開決定等理由書添付)
◆08.10.05 意見書
◆08.11.21 長良川市民学習会から岐阜県河川課へ「緊急申し入れ書」
◆08.11.25 岐阜県河川課からの文書回答
◇参考:07.12.06 名古屋市議会経済水道委員会への資料(名古屋市上下水道局)
徳山ダムに係る導水路検討会【第6回】(06.08.30)
~ 【第7回】(07.08.22)に至る過程の不透明さと情報公開請求
(岐阜県とのやりとりを中心に)
「徳山ダムに係る導水路検討会【第7回】」での「上流分割案=長良川にお徳山ダムの水を流す」は、導水路問題をそこそこに注視してきた私たちにとってもオドロキであった。
この「上流分割案」なるものそのものにも疑問と異議は多い。
が、それ以前に「それまで(徳山ダムに係る導水路検討会【第6回】まで)の議論の流れを根本的に変えるこのような案は、どんな経緯で出されたのか「どんな議論があったのか」が知りたい。そうでなければ、この「上流分割案」なる何のメリットもなさそうな案(「長良川の河川環境改善」は笑止)の本当の狙いが見えて来ない。
中部地整及び岐阜県に対し、再三再四、「徳山ダムに係る導水路検討会【第7回】で上流分割案を合意した」議論の経過が分かるものを提示するよう求めてきた。
中部地整及び岐阜県の口頭での回答は共通して《「HPに掲載している議事要旨と資料がすべて」「議事要旨議事録はない」「その他に中部地整と3県1市が共有した資料は(情報公開請求対象文書「公文書」としては存在しない」》というものであった。
長良川市民学習会に参加する市民は、行政(中部地整河川部及び岐阜県河川課)との交渉の場面などで、何度も「部長級会議で何事かを合意をする以前に、打ち合わせ等をくりかえしているはずだ。その資料を”公文書”とするかどうかの解釈の問題なのか?何かあるはずだ」と口々に述べてきた。そして同時にまざまな文書名での情報開示請求も行ってきた。
今般の岐阜県への開示請求及び異議申立の概略は以下である。
◆ 岐阜県への開示請求関連
( ☆=近藤より ★=岐阜県より)
☆ 08.07.28 岐阜県に 開示請求
請求文書名
「徳山ダムに係る導水路検討会において国・三県一市からだされた資料一切(HP掲載以外のもの)」「発言メモ等一切」
★ 08.08.06 非公開決定 理由「不存在」
☆ 08.08.10 岐阜県情報公開条例及び行政不服審査法に基づき異議申立(別紙「理由」付き)
08.08.18 補正
★ 08.09.01 実施機関(担当:岐阜県河川課) 審査会に諮問
★ 08.09.17 実施機関からの公開決定等理由書が審査会に出される
★ 08.09.22 審査会より異議申立人に対して、意見書提出及び口頭での意見陳述機会の要請に関する問い合わせ(実施機関からの公開決定等理由書添付)
☆ 08.10.05 意見書提出及び口頭での意見陳述機会の要請
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<参考>080522 岐阜県に対して開示請求
請求文書名:「徳山ダムに係る導水路検討会(第6回)」「徳山ダムに係る導水路検討会(第7回)」の会議記録(録音データ等を含む/「議事要旨」ではない) → 不存在
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中部地整に対しては、さらに詳細な開示請求を行っていた(166国会 07.06.12付 近藤昭一議員からの質問主意書に対する 07.06.22 答弁書に絡めて)。中部地整河川部とは何度も文書名の補正の話し合いをやっても埒があかない状態なので、「非公開(理由・不存在)」決定を出させて(9月8日に非公開決定)、行政事件訴訟法による「非公開決定処分取消」訴訟の提起の準備に入った。訴訟の下準備として「念のため」に9月17日に「徳山ダム導水路検討会]第6回以降第7回までの間の3県1市及び中部地整担当者会議での資料・議事録・その他の文書(音声データ等を含む)」という開示請求をしたところ、中部地整は10月17日付けで開示決定を行い、「徳山ダムに係る導水路検討会幹事会資料」を開示してきた。言ってみれば岐阜県は「背後から刺された」のである。
開示された徳山ダムに係る導水路検討会幹事会等資料
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第3回幹事会 06.10.26
第4回幹事会 06.11.27
第5回幹事会 07.3.16
連絡調整会議 07.3.26
第6回幹事会 07.4.06
第7回幹事会 07.4.13
第8回幹事会 07.4.23
第9回幹事会 07.6.11
連絡調整会議 07.6.13
第10回幹事会 07.7.4
第11回幹事会 07.8.2
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長良川市民学習会として11月21日に「緊急申し入れ書」を送付し、本日25日に岐阜県河川課から文書回答を受け取った。異議申立人・近藤ゆり子(筆者)は、岐阜県情報公開審査会に対して異議申立(不服申立)の取り下げを行う。
すでに意味のないものになっているからであり、「標的」が見えにくくなるからでもある。
何故、かくも懸命に隠さねばならなかったのか?
第5回幹事会(07.3.16)及び連絡調整会議(07.3.26)の資料の抜粋を掲載する。
徳山ダムの利水者(導水路がないと使いようがない)であり、同時に未だまともにその水を使っていない(要らないから使っていない)長良川河口堰の利水者である愛知県企業庁&名古屋市上下水道局が、「長良川河口堰取水の兼用施設としての(長良川→木曽川の)下流施設」を入れ込むことを強硬に進めようとした形跡が見てとれる。しかし「徳山ダムに係る導水路検討会【第7回】」では、ここは表に出ず、「長良川河口堰取水の兼用施設」である部分は隠された。
多分、この「上流分割案」が長良川河口堰取水の兼用施設として浮上してきたことを隠したかったのだろう。つまり「長良川河口堰の(堰直上流ではない、もっと上流からの)取水」を公然化することは避けたかった、ということであろう。
しかしその後の名古屋市上下水道局や愛知県企業庁の言動は、「木曽川水系連絡導水路上流分割案・下流施設を長良川河口堰取水兼用施設とする」願望を顕わにしている。現時点でも、上流分割案の「下流施設」は、木曽川水系連絡導水路は、長良川河口堰からの取水を堰上流19キロ(あるいはそれ以上に上流)で行うための手掛かり・先鞭の施設としての意味を持つ、と考えざるをえない。
<参考:07.12.06 名古屋市議会経済水道委員会への資料(名古屋市上下水道局)>
「徳山ダムに係る導水路検討会【第7回】議事要旨」は、何とでも解釈できる(どうにでも誤魔化せる)シロモノであり、事実、岐阜県と名古屋市は全く違うことを議会に説明している。「議事要旨」などという纏めだけの公表では、透明性など確保できない。それどころか、行政の二枚舌・三枚舌を担保する(市民を騙す・誤魔化す)ものとしての機能を発揮しているのである。
11月17日に発足した「木曽川水系連絡導水路監理検討会」もまた「玉虫色」の議事要旨・資料しか公表しない(「行政文書・公文書等の管理・保存に関する関係省庁連絡会議」(第1回07.12.14)の配布資料:
資料2「行政文書の管理の徹底について」で「各府省庁においては、その意思決定並びに事務及び事業の実績については、軽微なものを除き、文書を作成することを徹底する。特に、政策の決定及びその経緯等に関しては、所要の文書を作成することの徹底を図る。」とされているにも拘わらず、である)
26日、徳山ダムで一番肝心な約束(公共補償協定)を反故にされた徳山村民の怒りの訴訟口頭弁論が岐阜地裁で開かれる。
残念なことだが「行政は住民・市民を騙す」というお手本が目の前にいくらでも存在する…。
それが「木曽川水系水資源開発基本計画」の、特に長良川河口堰・徳山ダムの実態であった。
その長良川河口堰・徳山ダムを繋いで「三位一体」とするのが木曽川水系連絡導水路建設事業である。これが「隠しごとの多い事業」であることは明らかになった。このような欺瞞に満ちた建設事業計画は、白紙に戻すべきである。
行政密室会議で、住民にも議会にさえも「本当のこと」を隠しつつ巨額の税金を投じて「先ず建設ありき」でこと進める「建設省の業(さが)」はそろそろ精算すべきときではないか。
(「幹事会資料」でも明らかになった国交省中部地整河川部の「水系総合運用」なるものの意味と、国交省土地・水資源局水資源部が編集・発行する白書「日本の水資源」平成19年版・平成20年版に盛んに登場する「総合的水資源マネジメント」は全く異なる-逆ベクトル-のものであることも分かった。これに関しては、別の機会に検討する。)